2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう
多くの人の人生のサウンドトラックに
リアムはフロントマンとしてはいいが、どちらかと言えば「シャウト的」なボーカリストだ。ローリング・ストーン誌が2023年に発表した「歴史上最も偉大な歌手200人」のリストに入っていないのも当然だ。 ちなみにビートルズからはポールとジョンの2人がランクインしていて、ジョージも含めれば、オアシス随一のボーカリストを上回る歌手が1つのバンドに3人もいたことになる。 オアシスにはいい感じの曲が数曲あるが、史上最高だと思うオアシスの曲を4曲以上挙げろと言われたらほとんどの人は苦労するだろう。僕は個人的には「ホワットエヴァー」が好きだが、他の曲は「クラシック」というより「盛り上げソング」っぽい感じだ。 オアシスはかなり運がいい。彼らは優れたブリティッシュバンドがたくさんいた時代に広く受け入れられ、いわゆるブリットポップ時代を「定義」する存在になった。 同時代のバンド(スウェードやブラー、パルプ)と比べて抜きん出ているわけでもなく、ましてや他の時代の偉大なアーティストたち(ローリング・ストーンズやクイーン)に勝ることなどない。 でも、オアシスは多くの人々の人生のサウンドトラックになった。後に結婚する相手と出会った時に「ワンダーウォール」が流れていたことや、21歳のバースデーパーティーで友人たちと「リヴ・フォーエヴァー」を歌ったことを、人々は思い出す。 だからオアシスの音楽は人々の心を動かし、人々はあの時を追体験したくなる。唯一無二というよりありふれた存在のオアシスは、新たなビートルズではなくエッジの効いたダイアー・ストレイツなのだ。
コリン・ジョイス(本誌コラムニスト)