AV時代と同じ名前で新たな道へ、異色キャリアの澁谷果歩が語る信念「名前を隠さなくてもいいと証明したい」
引退前には医学部受験のため、撮影現場に参考書を持ち込み猛勉強するも補欠合格
厳格な両親にはデビュー後ほどなくして出演がばれ、猛反対に遭うことに。「AVに出るなんて頭がおかしい」と精神科に連れていかれるも、そこでのカウンセラーとの出会いが皮肉にも「澁谷果歩」として生きていく自信につながったという。 「女性のカウンセラーさんだったんですが、『お母さんも少しヒステリックね』と母の分の精神安定剤も処方してくれました(笑)。『あなたの話はとても面白い』とも言ってもらえて、それまで青森出身とか清純派とか、うそで固めたプロフィルでやってきたけど、等身大の私でも受け入れてもらえるんじゃないかと」 「3年いればベテラン」と呼ばれる業界で「やりたいことは一通りやった」と18年に引退を表明した。正式引退を前に両親から医学部受験を強く勧められ、約3か月の間、撮影現場に参考書を持ち込み猛勉強に励んだが、結果は補欠合格。もう1年勉強するか、「澁谷果歩」として生きていくかの二択の末、後者を選択した。 引退後に収入が減って再び脱ぐというケースが多いなか、コスプレイヤーやゲーム実況など、非アダルト分野でマルチに活躍。収入面ではすでにセクシー女優時代に並んだ。今年都内にマンションを購入、両親とは分籍しており、自分のための人生を生きているという。 元セクシー女優が一般の場に出ることには、賛否両論があるのが実情だ。「澁谷果歩」名義で活動することに制約や葛藤はないのだろうか。 「辞めた以上、アダルトとは違う方向に進みたい。一般イベントだと、検索で出てくるからダメと言われることや、名前を変えたら? と言われることもあります。逆に引退した後もAVの話ばかりを聞かれたり……。でも、名前を変えるのはAV時代から応援してくれているファンに申し訳ないし、やましいことではないのに隠していると思われるのも嫌。 私は現役でも引退済みであっても、AV女優が子どもの前に出るのがいけないことだとは思いませんが、それは服装に気を遣ったり、AVの話はしないことが前提にあってこそ。たまに全年齢のイベントで、サインしてほしいと昔の出演DVDを持ってくるファンの方もいるんですが、『ここはパブリックな場所だからしまって』と断っている。大事なのはTPOだと思うんです。 肩書にはメリットもデメリットもありますが、『澁谷果歩』のままアダルト以外の方面でも活躍して、AV女優のアフターキャリアの可能性を示していきたい。名前を隠さなくてもいいんだということを証明していきたいと思います」 異色の経歴を持つ元セクシー女優は、「澁谷果歩」という唯一無二のキャリアを歩んでいる。
佐藤佑輔