輸出は4カ月連続プラス、自動車と半導体関連が増加-円安追い風
(ブルームバーグ): 日本の輸出は3月に前年比で4カ月連続プラスとなった。引き続き円安が追い風となり、自動車や半導体関連が増加した。内需の低迷が続く日本経済にとって、輸出の増加が持続するかが回復の鍵を握る。
財務省が17日発表した3月の貿易統計(速報)によると、輸出は前年同月比7.3%増。市場予想(7.0%増)を上回った。数量ベースでは2.1%減少したが、ドル・円の平均値が1ドル=149.45円と前年から10.7%円安に振れ、金額を押し上げた。輸入は4.9%減と2カ月ぶりのマイナス。
今回の結果は日本経済が円安の恩恵を受けていることを表している。ブルームバーグの集計によれば、1-3月の実質国内総生産(GDP)は個人消費が停滞する中でマイナス成長が見込まれているが、景気の下支え役として輸出が底堅さを維持できるかが引き続き焦点となる。
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員は、輸出は「海外景気がそこまで芳しくない中でそこそこ伸びている」と評価。利上げ効果で米国景気に今後下押し圧力がかかることが懸念され、欧州はすでに弱さが見られるとし、「今後輸出がどんどん伸びていく展開には向かいにくい」との見方を示した。また、円安は輸出金額の押し上げに寄与していると説明した。
国際通貨基金(IMF)は16日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済成長率を3.2%と1月時点の予測から0.1ポイント引き上げた。米国と一部の新興市場の好調さを反映する一方、インフレと地政学的リスクが続く中、見通しには依然として注意を要すると警告している。日本の成長率は0.9%に据え置いた。
IMF、世界経済の成長率見通しを小幅に上方修正-リスクも警告
3月の日本の輸出の品目別では自動車、半導体電子部品、船舶が伸びた。
地域別では米国向けは8.5%増と30カ月連続プラス、欧州向けは3.0%増で4カ月連続プラスとなった。中国向けは12.6%増と3カ月連続でプラスで、伸び率は2月(2.5%)から拡大。春節(旧正月)に伴う大型連休があった2月から大幅に伸びた。