「みなし相続財産」とは?…「相続財産」との違いと、非課税枠を“最大限活用する方法”
みなし相続財産の「非課税枠の範囲」と計算式
死亡保険金(生命保険金)が支払われたり、死亡退職金が支給されたりした場合、そのまま被相続人の遺産総額に加えられるわけではありません。 死亡保険金(生命保険金)・死亡退職金には「非課税枠」が用意され、この非課税枠から控除された金額だけが相続税の対象です。非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で算定します。 例えば、死亡保険金1,600万円で法定相続人に配偶者と子1人がいるケースだと 500万円×法定相続人2人=非課税枠1,000万円 死亡退職金1,600万円-非課税枠1,000万円=600万円 こちらのケースでは、支払われた死亡保険金は600万円のみ相続財産に含まれます。 ただし、死亡保険金(生命保険金)の場合、相続人または受遺者(遺言で財産を受け取る人)以外が保険金を得ると、非課税枠の対象外になります。
みなし相続財産がある場合の相続税の“具体的な計算例”
ここでは、相続開始時にみなし相続財産があった場合、どのように相続税を算定するのか、具体例をあげて説明します。 みなし相続財産を含めた遺産、相続人 被相続人が2023年12月15日に死亡し、法定相続人には配偶者A、子B・Cの3人がいます。 被相続人には民法上の相続財産として不動産5,000万円、預金2,000万円があり、借金は無く、葬儀費用は200万円かかりました。 また、次のようなみなし財産が判明しています。 ・死亡保険金(生命保険金):1,700万円(受取人は配偶者) ・被相続人の死亡前3年以内の生前贈与(暦年贈与):300万円 こちらの例を踏まえ、相続税課税対象額を計算していきます。 死亡保険金(生命保険金)の算定 まず死亡保険金(生命保険金)から非課税枠を控除します。 法定相続人は配偶者A、子B・Cの3人なので非課税枠は、 500万円×法定相続人3人=1,500万円 死亡保険金(生命保険金)1,700万円-非課税枠1,500万円=200万円 200万円と被相続人の死亡前3年以内の生前贈与分300万円を合わせ、民法上の相談財産に加算します。 民法上の相談財産に加算し計算 民法上の相談財産として不動産5,000万円および預金2,000万円があるので、 みなし相続財産500万円+不動産5,000万円+預金2,000万円=7,500万円 合算した7,500万円から葬儀費用200万円を控除します。 7,500万円-葬儀費用200万円=7,300万円 課税価格の合計額は7,300万円となりますが、更に相続税の基礎控除が利用できます。 相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。 法定相続人は3人いるので、 3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円 7,300万円-基礎控除4,800万円=2,500万円 相続税課税対象額は2,500万円となります。