【NBA】ジャズのジョン・コリンズ、最高の連携で決めたゲームウィナー「クラークソンと目が合った瞬間に分かった」
ベテランらしい『お手本』を見せマーベリックスを撃破
今シーズンのジャズは再建中で上位に食い込む必要はないが、チームの成長のためにはシーズンを通して『正しい努力』をする必要がある。ドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアの放出以降は注目度が一気に落ち、注目されるのはラウリ・マルカネンの行き先ぐらいであっても、チームは『正しい努力』をしようと力を注いでいる。 その中で、難しい立場に置かれたのがジョン・コリンズだった。ホークスで6シーズンを過ごした後、2023年オフにジャズにトレードされた。この時点で25歳で、再建チームにトレードされるのは不本意だったはず。しかも昨シーズンはロスターも戦い方もコロコロ変わる中で、彼の器用さは便利使いされるだけでチームの軸には据えられず。2年目の今シーズンはスタメンから外れている。 この起用法に腐ってもおかしくないところだが、彼はひたむきに努力を続けている。今シーズン始動の時点で彼は「あらゆる面で上達したいけど、今シーズンはボールのないところでどうプレーし、特にそれを得点に結び付けることを学びたい。このチームのオフェンスは流動的で、その中で自分を生かしたい」と目標を語っており、その通りに今のジャズのオフェンスに自分の個性をいかに組み合わせるかを試し、結果を出している。 プレータイムの減少に伴い平均スタッツは落ちているが、それでも今シーズンの11試合すべてで2桁得点を挙げ、4試合ではリバウンドも2桁に乗せてダブル・ダブルを記録。シックスマンには慣れていないが、リズムをつかみやすい先発の座を若手に譲り、彼はベテランらしくコートに送り出される時の試合状況に応じてプレーを変えて、チームに貢献している。 そのコリンズが先発に回り、ゲームウィナーを決めたのが、現地11月14日のマーベリックス戦だった。カイリー・アービングを肩のケガで欠くマブスに対し、残り5分で2桁のリードがあった状況から追い上げられ、逆転を許す。残り1分でジョーダン・クラークソンがピック&ロールからアタックして逆転のバスケット・カウントをもぎ取った時、コリンズは右コーナーで待機してプレーに絡んでいなかった。 だが、クレイ・トンプソンの3ポイントシュートで再びビハインドを背負った最後の攻め、コリンズは『ボールのないところでの動き』でマブスを出し抜く。ルカ・ドンチッチとクエンティン・グライムズの中間に位置を取り、またクラークソンで勝負してくると予想している2人の視界から消えた。その瞬間にトップの位置のクラークソンからゴール下のコリンズへとハイローのパスが入って勝負あり。余裕を持って逆転のダンクを決め、これで勝負が決まった。 指揮官ウィル・ハーディーは「ジョンをマークしていたドンチッチがグライムズとのスイッチするつもりのだろうが、その意思疎通が曖昧だったため混乱した。その瞬間、JC(クラークソン)とジョンの意思疎通は完璧だったね」と言う。 コリンズは「ショットクロックを計算しながらボールをキープするクラークソンと目が合った瞬間に『狙え』と僕に言っているのが分かった」と言い、クラークソンは「超能力みたいなものだった。勝敗を決する場面で、アイコンタクトで僕の意図が伝わったのはたまらなかった」と振り返る。 再建中のチームのベテラン2人が、見事な連携から強豪マブスを打ち破るゲームウィナーを決めた。練習場でのアドバイスだけでは足りない若手へのメッセージを、彼らはプレーで見せている。