部活動廃止なら「せめて使わせて」 圧倒的不足の“野球場”…受け皿限界「小規模になる」
公立中学部活の地域移行の現状は? 中学軟式強豪クラブ「土日の練習場所に課題」
公立中学校の部活動を地域のクラブや民間事業者などに委ねる「地域移行」は、2023年度のスタートから間もなく2年を迎える。国は2025年度までの3年間を「推進期間」と位置づけ、早期実現を目指す方針を打ち出しているが、受け皿となる団体がない、指導者が確保できない、保護者の経済的負担が生じるなどの数々の問題点が浮き彫りとなっている。中学野球界での現状を、愛知の強豪軟式クラブ監督に聞いた。 【動画】中学生球児必見! 胸主導の投球動作が身に付く「やり投げ」ドリル 2024年夏の全国大会で優勝した愛知県名古屋市の中学軟式野球クラブチーム「東山クラブ」は、1987年の創部から38年の歴史を持つ。少子化の時代に、部員数は2年生、1年生の2学年で75人。3学年がそろえば100人を超えることも珍しくない名門クラブだ。 藤川豊秀監督に地域移行の難しさについて、「やっぱりグラウンドだと思います」と即答する。 「中学の部活動は学校のグラウンドがあったから活動できていましたけど、それが地域移行になった際、受け皿になろうと思っても、結局はグラウンドがないので、チーム数を増やすのは限界があります。どこかで頭打ちとなれば、チーム数を減らしてやっていくしかないので、今のままでは小規模にはなると思います」 東山クラブは専用球場を保有しておらず、平日は名古屋市千種区スポーツセンター横の新池グラウンドを借りて活動。狭い長方形サイズの中で、十数箇所にわたって練習ブースを設け、全部員が一斉にプレーする。名門クラブでさえ、限られた環境下で工夫しながら練習しているのが現状だ。 中学軟式チームは現在、愛知県内に約400チーム。リトルシニアリーグやボーイズリーグなどの硬式チームも100近くあるため、土日は「グラウンドを確保するにも、かなり苦労している」という。 「最近はサッカークラブも増えてきて、サッカー場も少ないから、野球のグラウンドを借りてやるんです。そういう事情もあって、余計に借りにくくなってきていますね」