たばこ一箱4200円のイギリス、2009年生まれ以降への紙巻きたばこ販売が禁止へ 今年後半にも法案成立か
イギリスで2009年以降に生まれた人が生涯にわたってたばこ製品を買えなくなる、という法案が今年中にも成立する見通しだという。 【映像】世界一醜い色? 肺のイラストも…吸う気がなくなる英のたばこパッケージ 世界で最も厳しくたばこを規制する国になるのか? イギリスのたばこ事情も含め、ANNロンドン支局の佐藤裕樹記者に聞いた。 ━━イギリスでは禁煙のエリアが多いのか? 「建物の中は基本的に禁煙だ。だが、屋外では喫煙OK、カフェのテラス席などでも問題なく、屋外での歩きたばこもよく見かける」 ━━法案提出の経緯は? 「きっかけは去年10月にスナク首相が発表した『今たばこを吸えない世代に、生涯たばこを売らないことを目指す』とする政策であり、16日に下院で与野党が賛成して可決され、下院の中で次のステップに進んだ。今後、下院で修正が加えられる可能性があるが、与野党が賛成していることもあり、下院での最終的な採決や上院での採決などを経て、この法案は今年後半にも成立するとみられている」 ━━法案が成立すれば、2009年生まれ以降への販売が禁止されるのか? 「2007年までは16歳からたばこを買うことができたが、現在は18歳以上にたばこを販売している。これを2027年以降、毎年1歳ずつ引き上げて、2009年以降に生まれた人が18歳になっても、生涯たばこを買えないようにしようとしている。ちなみに現在、紙巻きたばこは1箱20本入りで、22ポンド。日本円でおよそ4200円。高額であるため、多少安い自分で紙を巻いて作る手巻きたばこが人気だ」 ━━イギリスのたばこのパッケージはどのようなものか? 「たばこの銘柄によって、パッケージの色が違うのではなく、統一されている。さらに、たばこのパッケージのデザインに明るい色の使用が禁止され、“世界で最も醜い”とされる色で統一されている。心臓や肺に穴が開いたようなイメージ写真もつけられており、パッケージからたばこを吸いたくならないように工夫されている」 ━━今回の法案は、あくまで販売の禁止であり、吸うことはできるのか? 「2009年以降に生まれた人たちへの販売禁止であり、たばこの所持や喫煙は違法ではない。他国で合法的にたばこを購入し、それをイギリスに持ち帰ることも認められている。一方、合法的に買える年代の人が、代わりに買ってあげることは犯罪となる見込み」 ━━なぜ、紙巻きだけを対象にするのか? パイプや電子タバコは? 「まずは紙巻きたばこからスタートし、今後、電子タバコなども規制の対象が広がる可能性もある」 ━━そもそもイギリスのたばこ事情は? 「実は、喫煙者の数は減少傾向にある。2022年の地点で紙巻きたばこの喫煙者は18歳以上の12.9%であり、過去10年で3分の2ほどになっている。ただ電子たばこも含めた喫煙率は、体感としてはもっと高い」 ━━法案はスナク首相肝いり政策とのことだが、なぜ力を入れている? たばこを将来的にどうしたいのか? 「とにかく喫煙者の数を減らしたい、若者がたばこを始めることを阻止したいという考えだ。原因の一つは、医療崩壊。イギリス政府は、喫煙が積み重なったことを起因とした病気によって、医療機関を受ける人が多いとして、喫煙が医療のひっ迫の要因の一つと指摘している。イギリス政府は『30歳になる前に辞めた人は、寿命が10年延びると推定されている』とも指摘している」 ━━反対の声は上がっているか? 「販売が禁止されることで、たばこの闇市場を生み出すという懸念もある。さらに、トラス前首相などは人権の問題を指摘していて、『たばこを買うか買わないか選択できる権利を奪う』などと主張している。『店頭での年齢確認が面倒になる』という声もある」 ━━たばこ農家、工場など雇用への懸念は? 「業界団体は、将来の販路を失うわけで、当然反対している」 (ABEMA/倍速ニュース)
ABEMA TIMES編集部