岡田阪神、先勝許して崖っぷちも13日先発の高橋遥人が夢をつなぐ
（JERA クライマックスシリーズ セ ファーストステージ、阪神1－3DeNA、1回戦、DeNA1勝、12日、甲子園）逆転勝利を信じた虎党の願いはかなわなかった。最後の戦いに臨む岡田虎がいきなり追い込まれた。投打ともに連覇を逃した今季の反省材料を詰め込んだような黒星。岡田監督は怒りを通り越してあきれかえった。 「いやもう、1年間を象徴してるようなゲームやったよな。何にもできないもんな」 1番・近本、2番・中野が出塁できず、打線はつながりを欠いた。左太もも裏の違和感で難敵の東が4回無失点で降板する〝追い風〟にも乗れない。0－3の九回に木浪の左前適時打で零敗を逃れるのがやっとだ。 投手陣も11日の前日会見で警報を出した牧、佐野、オースティン、宮崎の中軸4人に計8安打を許した。七回には早打ちの傾向がある相手にことごとくファーストストライクを捉えられて2失点。「結局、1年間、一緒のやつに打たれただけやんか。おんなじ打たれ方したよな。1年間、全然、対策もできんかったっていうことよ」と嘆いた。 レギュラーシーズン2位から2年連続の日本一を目指す戦い。阪神がクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージの初戦で黒星を喫した6度（2007、08、10、13、15、21年）はすべて敗退しており、突破率0％という危機的な状況に追い込まれた。 そんな〝絶望〟を振り払えるのは、13日の第2戦で先発する高橋しかいない。左肘などの手術による長期離脱を乗り越え、8月の復帰登板で3季ぶりの勝利。そこから4連勝を飾り、優勝争いから脱落しそうなチームの危機を何度も救ってきた。CSでも重責を担う左腕は、今季初対決の相手にミッションを果たすためのポイントを抑えている。 「（右打者の）外（角）一辺倒だとどうしても踏み込まれる。どんどん内（角）をいかないと。先制点は何としても与えてはいけない」 初戦で好き勝手やられた牧、オースティン、宮崎の胸元を突く。三回の先制点につながったイニングの先頭打者の出塁も許さない。強気の姿勢と当たり前を積み重ねる忠実さで立ち向かう。今年7月の支配下復帰後は5戦4勝1敗、防御率1・52。絶望からはい上がってきた高橋は、輝きを取り戻す術を知っている。19、21年にはCSでの登板経験もある。虎の命運を握る左腕は覚悟を決めてマウンドへ向かう。 「いつもよりも緊張感はあるのかなと思う。そこはそれを力に変えて（いきたい）」
