風来坊の「元祖手羽先唐揚げ」は食材の発注ミスから生まれた!?
発注ミスから生まれた名物手羽先唐揚げと、そのこだわり
名古屋にお店を構えた当初は、北九州で営業していた頃と同様に丸鶏を部位ごとにさばいた料理を提供していたそう。中でもひな鶏の半身を丸ごと素揚げして、秘伝のタレと調味料で仕上げた「ターザン焼」は同店の名物料理として人気がありました。 ある日、仕入れの発注ミスでターザン焼に使用するひな鶏が手に入らなかったことがありました。名物料理を提供できないことに困った大坪さんは仕入れ業者の倉庫に出向き、大量に積み上げられた手羽先を発見。当時、手羽先はスープの出汁をとる以外には、ほとんど使われない食材でしたが「この手羽先にターザン焼のタレをつけたらどうか」と考え、その手羽先を店に持ち込み調理。これが大ヒットし、ターザン焼と並んでお店の看板メニューとなりました。これこそがまさしく「元祖手羽先唐揚げ」の誕生だったわけですね。 偶然が生んだ同店の名物手羽先唐揚げですが、大坪さんはこれにあぐらをかくことなく、常に研究を重ねたそうです。そのこだわりとは? 風来坊で使用する手羽先は35グラムと1グラム単位でサイズを決定するほどの徹底ぶり。揚げ方にもこだわり、最初は160度の油で素揚げ、一度取り出し、次は190度で揚げることで外はカラッと、中はやわらかく仕上がるといいます。 風来坊の手羽先唐揚げの味を決めるのに一番大事なもの、それは「タレ」。みりん、醤油、ニンニクスライス、そして3種類の調味料をブレンドし、1か月ほど熟成させたタレは、手羽先のうまみにも負けない同店独自の甘辛い味わいを生み出しています。さらに盛り付けにも秘密が。 風来坊では提供時に向きが揃わないと見栄えが悪いという理由から、手羽先の右の羽と左の羽をそれぞれ分けて肉面を上に、皮面を下にして扇形に並べます。お客さんが食べる瞬間まで想像した細かなこだわりです。
手羽先の山ちゃんをも魅了した元祖手羽先風来坊
手羽先唐揚げの二大巨頭と言っても過言ではない「風来坊」と「世界の山ちゃん」。実は世界の山ちゃん創業者の山本重雄さん(以下山本さん)が、かつて働いていた居酒屋と風来坊が隣同士だったそうです。当時は風来坊の手羽先の味を真似した店がたくさんできており、山本さんも風来坊の手羽先を真似しようと試行錯誤を繰り返したそうですが、やはりその味をうまく真似ることができなかったといいます。結果として山ちゃんでは独自のスパイスを考案することで有名店となりました。風来坊と世界の山ちゃんの手羽先に対してのこだわりがなければ、「名古屋名物」としての手羽先唐揚げは存在していなかったかもしれませんね。 ライター名 KENTA ※記事内容は配信時点の情報となります。 #名古屋めしデララバ
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