木村拓哉ドラマ“職業コスプレ”の歴史…『ロンバケ』のピアニスト、『HERO』の検事、ついには総理大臣からアンドロイドまで…キムタク30年史を振り返る
『ロンバケ』が元祖、『HERO』が流れを確たるものに
1990年代は、やはり正式な初主演作であり、演じた“職業”も大注目された恋愛ドラマの金字塔『ロングバケーション』(1996年)。キムタクが演じたのは、才能はあるものの大学院入試に失敗したため、音楽教室の講師をして食いつないでいるという冴えないピアニストだった。 お仕事ドラマと違って恋愛ドラマの場合、主人公の職業はそこまで重要なファクターでないケースも多い。だが『ロンバケ』に関しては、ピアニストとしての葛藤や挫折、そしてそこからの再生もストーリーに大きく関わり、ナイーブな性格がパフォーマンスに大きくリンクしていたのだ。 ちなみに“冴えないピアニスト”だったのは劇中だけ。メタ的にはピアノを演奏するキムタクの色気に世の女性はメロメロになり、影響を受けてピアノを習い始める男性が急増したともいわれていたほど。 そして、いうなれば『ロンバケ』が“キムタク職業コスプレ”の元祖だったのである。 続く2000年代。『ロンバケ』がキムタク職業ものの“はしり”だったとすれば、その後に“キムタク職業コスプレ”というストリームを定着させたのが、検事役を演じた『HERO』(2001年)だろう。 『ロンバケ』のピアニストも『ビューティフルライフ』(2000年)の美容師も、キムタクがこんな職業を演じたら……というファンの願望を叶えるものだったのだろうが、この2作品はあくまで恋愛ドラマ。対して『HERO』はキムタク主演の連ドラで初の本格的なお仕事ドラマだった。 それまでリーガル系作品の主人公といえば弁護士がセオリーだったなか、あまり世間的に注目を浴びていなかった検事を主役にするという設定が新鮮だった。しかもキムタク演じる主人公は黒髪にお堅いスーツ姿ではなく、毛先を遊ばせた茶髪にダウンジャケットを着こなした、一見チャラい風貌。 発言も行動も破天荒で、固定観念をブッ壊した“型破りな検事”像を打ち立てたのだ。 『HERO』は全話平均視聴率で34.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)という驚異的な数字を叩き出し、フジテレビドラマの看板枠「月9」(月曜21時枠)の歴代トップの記録を誇るモンスター級のドラマに。 その後は『GOOD LUCK!!』(2003年)でパイロット、『プライド』(2004年)でアイスホッケー選手、『エンジン』(2005年)でレーシングドライバーと、3年連続で特殊な職種を華麗に転身していたが、“職業コスプレ”の流れを確固たるものにしたのは間違いなく『HERO』だった。 また、『HERO』後のドラマでは公式に明言はされていなくとも、“型破りな○○”と形容できる主人公像が多かったのだが、これも『HERO』の影響に違いない。
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