小田香『Underground アンダーグラウンド』公開日は2025年3月1日に 蓮實重彦コメントも
小田香監督の新作長編映画『Underground アンダーグラウンド』の公開日が2025年3月1日に決定し、あわせてポスタービジュアルと新場面写真が公開された。 【写真】『Underground アンダーグラウンド』新場面写真 本作は、『サタンタンゴ』『ニーチェの馬』で知られる映画作家タル・ベーラが後進の育成のために設立した映画学校「film.factory」で3年間学んだ後、卒業制作として作られた長編デビュー作『鉱 ARAGANE』ではボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱、第1回大島渚賞を受賞した『セノーテ』ではメキシコ、ユカタン半島北部に点在するセノーテと呼ばれる洞窟内の泉と、異形の地下世界を題材に制作を続けてきた小田監督による5年ぶりの新作映画。 小田が「“地下世界”を描く作品としては節目となる作品」と語る本作は、監督が3年かけて日本各地をリサーチし、その土地に宿る歴史と記憶を辿り、土地の人々の声に耳を傾け、これまでとは全く異なる撮影体制で地下の暗闇を16mmフィルムに焼き付けている。 地下の暗闇から、蠢く怪物のように「シャドウ(影)」が姿を現す。シャドウ(影)はある女の姿を借りて、時代も場所も超えて旅を始める。滲み出す地下水に濡れる、地下鉄が走る音を聞き、戦争により多くの人々が命を失ったほら穴の中で死者達の声に耳を澄ませる。山奥の寺では、洞窟に続く、壁面に掘られた仏たちのために読経する僧侶の傍らに身を寄せる。そんな道行きの中、シャドウ(影)は、かつてそこで起きたことをトレースしていくようになり、ふと入った映画館で出くわした映像に導かれ、湖の底に沈んだ街に向かうのだった。 公開されたポスタービジュアルには、暗闇の奥から照らす七色の光とともに、新たな地平へ誘うようなデザインとなっており、そこへ「世界が開いていく」というキャッチコピーが添えられている。このビジュアルは、濱口竜介監督作品『悪は存在しない』のパンフレットなどを担当したグラフィックデザイナーの畑ユリエが手がけた。 さらに、本作の公開にあわせ、ユーロスペースにて小田監督のフィルモグラフィーも網羅する「小田香特集」の開催も決定した。 また、映画評論家・蓮實重彦からコメントも到着した。 蓮實重彦(映画評論家)コメント 誰が乗っているとも知れぬ暗闇の軌道を移動する地下鉄のロングショットが、どうしてこれほど見るものの神経を騒がせるのか。 とは申せ、その題名にもかかわらず、この小田香の期待の新作は、地上人の、しかもたった一人の女性をめぐる映画でもある。 そのことの深い驚きから回復することなど、誰にもできはしまい。 蓮實重彦(映画評論家)
リアルサウンド編集部