天安門事件から35年 強まる言論統制 中国当局が警戒する“民主活動家”「李老師」
中国化が進む香港では、今年に入り新たに2000台近くの監視カメラが設置されました。 民主派への締め付けが強まる中、中国政府が最も警戒する1人に接触することができました。「李老師(先生)」を名乗る男性です。「X」を通じ、中国メディアが一切報じない中国国内の人権問題や当局に抗議する動きを大量に発信。フォロワーは150万人を超えています。32歳の画家ということ以外は一切明らかにしていない謎のインフルエンサーです。 影響力を発揮したのが2年前。 李老師さん 「『習近平退陣しろ』『共産党退陣しろ』との声を聞いて驚きました。自分は今までこんな過激な声を聞いたことがありません」 北京や上海で起きたゼロコロナ政策への抗議デモ、いわゆる「白紙運動」でした。彼のもとには多い時に1秒で15件もの情報が寄せられ、Xで投稿すると瞬く間に拡散。こうした動きを受け、中国当局は圧力をかけてきたといいます。
李老師さん 「地方警察が常に実家に行って、両親に私を中国に戻すよう脅しました」 彼が中国SNSに持つアカウントは、合わせて53回も凍結されました。それでも発信はやめないといいます。 李老師さん 「今の中国では情報統制が非常に強くなりすぎて、交通事故などですら政府に都合が悪ければ報道されない。私のSNSが今の中国社会で声をあげることができる唯一の方法になっていると思います」 一党支配を揺るがした事件から35年。年を追うごとに締め付けが強まっています。