映画『ミッシング』出演:中村倫也が考える対人関係「知ろうとする誠意を持ちつつ、知った気になって決めつけない」
失踪した幼い娘を捜す家族を描く映画『ミッシング』。本作で、愛する娘の帰りを待つ石原さとみさん演じる母・沙織里と青木崇高さん演じる父・豊を、唯一取材し続ける地元テレビ局の記者・砂田裕樹役を演じるのが俳優の中村倫也さんだ。中村さん自身が纏う空気と繊細な演技によって、見る者が苦しくなるほどリアルな葛藤を表現している。複雑な立場の役を演じる上で、意識していたことは一体何なのか。変幻自在の演技で、ドラマや映画、舞台など幅広い分野で活躍し続ける中村さんに、今作に対する考えや、ものづくりをする際に意識していることを語ってもらった。 【写真】おちゃめな一面もチラリ! 中村倫也さんの写真をもっと見る
「なんとも言えない」けど、「何かがある」という
――今作は事件当事者の視点だけでなく、報道や第三者の声(SNS)など、多角的に描かれていると感じました。改めて、中村さん視点での見どころを教えてください。 観終わったあとの感想を率直に言葉にすると、「なんとも言えない」でした。なんとも言えないけど、“何かがある”という。それが希望なのか、生きるということなのか、人との繋がりなのか、明言することができないけど、きっと大切な何かが描かれている気がしたんです。鑑賞後にそういった感情を抱く作品は、出演する側として下手に言葉にしないほうがいいかなというのもあって。特に本作は、観る人によって共感できたり響くポイントが違ったりすると思うので、そのぼんやりとした大切な何かを、観る人それぞれがどこかのタイミングで感じる――それが見どころになるのではないでしょうか。 ――主演の石原さとみさんと中村さんは同じ生年月日。以前にもドラマで共演されていますが、時を経て再共演し、刺激になることはありましたか。 それはもうシンプルにすごいなと。やっぱりそれだけ心身ともにすり減らして芝居をしているのが見て取れたので、その姿はこの作品を一緒に作り上げていく上での刺激になりました。撮影以外の時間に、作品に対してどうこうしようと話すことはないですが、現場で芝居を見合うことで、お互いの考えていることを理解していたような気はしますね。