かるたでミャンマー現実伝える クーデター遭遇した野中さん 三重・松阪
市産振センターで講演会 平和のため闘い特別でない日常願う
ミャンマーに学校などを寄贈するなど国際貢献に取り組む三重県松阪市東黒部町のNPO法人・JAMBOF(尾花隆司理事長)は6日午後2時から、松阪市本町の市産業振興センターで、ミャンマーでクーデターを経験した国際基督大学1年生・野中優那さん(19)=千葉県浦安市=を講師に講演会を開いた。 JAMBOFは2003(平成15年)2月に発足。ミャンマーと日本に住む人たちの友情の架け橋となる事業を行い、両国民の友情を育んでいくことを目的に活動している。 ミャンマーでは21(令和3)2月1日、軍によるクーデターが勃発。野中さんは19年から同年までの2年間、同国のヤンゴンに暮らした。帰国後、静かで幸せな生活が一日で壊れる怖さを伝えたいと思い、クーデター前に撮った写真を使って、現地の人々や生活を紹介するかるたを作った。インターネットで費用を募っため、現在「Yangonかるたプロジェクト」として広がっている。 この日は50人が参加。野中さんは当時について「国民は平和的に抗議活動をしたが、それがかなわず未来が奪われていく現実を目の当たりにした」と強調。続けて「私が知るミャンマーは貧しいけれど、とても美しい国でした。今ミャンマーで平和のために闘っている人たちは特別ではない日常を願っている」と訴えた。 その上で作ったかるたを紹介。取り札の言葉は実際に現地で感じたことを書いたといい「例えば『生まれ変わる裏路地ヤンゴンウォール』。ウォールアートで街をよみがえらせる取り組みが実り、変貌を遂げた事例」と述べ、希望になっているとした。 また「かるたがさまざまなイベントを通じて国内各地に浸透し、同世代の若者がミャンマーの未来につなぐ多様性と異文化を学ぶきっかけになってほしい」と伝えた。 野中さんは「世界を変えていくには争いの当事者ではない多くの第三者が動く必要がある。経験した自分が伝える意味もそこにあり、ミャンマーのことを忘れ去られないよう、多くの第三者に種まきをしている」と話した。