「5歳までの語彙力が人生を変える!」和田秀樹さんが力説するワケ
受験学習法・幼児教育のプロである和田秀樹さんは「5歳までの語彙力が人生を変える!」と言います。9歳の壁との関係とは?和田さんの著書『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』(小学館)から子どもの語彙力を家庭で伸ばす方法を抜粋して紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● 語彙を知ることから 芽生える子どもの知的好奇心 読解力はどの教科でも必要になりますが、そもそも読解力というのはどんな力を指すのでしょうか。 この読解力を鍛えると何がいいのかを考えてみましょう。 OECD(経済協力開発機構)が実施している国際学習到達度調査(PISA)は義務教育終了段階の15歳を対象に行う学力テストです。その中で、読解力、テキストを理解する力、そうした情報を利用して熟考する能力、図表のような非連続型テキストを幅広く読み取る力などを調査しています。 読解力というのは単に文章を読む力だけを指すのではありません。 文章を読んで、結論や本質を理解する力や、人の言いたいことや思いを汲く み取る力、社会で起きていることを読み取る力、物事の因果関係を読み取る力、人間関係を読み取る力、必要な情報と不要な情報を見極める力、自分の言いたいことを簡潔にまとめて表現する力なども指します。
つまり、社会で生きていく上で、もっとも基本的な力と言えるのです。 ですから、その土台となる日本語を読む力や書く力は、子どもの教育の中で非常に重要になります。 ● 語彙力が低いまま 小学校に上がると そして、読解力の中には語彙力や文法力、要約力などが含まれます。 中でも、まずは語彙力を身につけることが大切です。語彙力とは、多くの言葉の意味を理解し、「読む・書く・話す」いずれでも、それを適切に使いこなす力のことです。 特に幼児期の子どもには、言葉をたくさん教えてあげることが必要です。言葉を知らなければ文章を読み取ることができませんから、最初に言葉の意味や読み方、使い方を理解させることが重要なのです。 たとえば、中高生以降の語学学習でも英単語はいちいち覚える必要がないという人がいますが、英単語をよく知らなければ、英語の長文を読む際に長い時間がかかります。英単語をたくさん知っている人は類推して読めるので、短時間でざっと読み通して、素早く概要を理解することができます。 それと同じで、小さな子どもも言葉をよく知っているほうが文章に親しみやすく、その後の理解もずっと早くなります。 そもそも語彙力が低いまま小学校に上がると、教科書に書かれていることや、先生の説明している内容が理解できないことがあります。 家でゆっくり話してくれる親とは違い、集団での学習では、言葉の意味を理解できない子や言葉で伝えるのが苦手な子は取り残されることがあります。意味のわからない言葉を聞き流したり、誤解して解釈したり、自分の考えをうまく伝えることができなかったりして困ってしまうこともあります。 そのため、日本語の力を高める上でまず必要になるのが、語彙力なのです。