「大切なものは数字じゃない」 感情に訴えるランボルギーニのEV 見えない魅力とは
数字だけでは語れない「独自の運転体験」
イタリアの自動車メーカーであるランボルギーニは、電動スポーツカーの研究開発を順調に進めている。同社によれば、表面上のパフォーマンスも驚異的なものだが、ダイナミクスとエモーショナルな魅力を第一に考えているという。 【写真】最高出力1360ps以上、ランボルギーニ初の量産EV【ランザドール・コンセプトを写真でじっくり見る】 (30枚) ランボルギーニは昨年、初の量産EVコンセプトとして「ランザドール」を発表。2028年頃に最高出力1000psを超える4ドアGTカーの発売を予定している。 一方で、スーパーカーのEV化計画についてはまだ明らかにされていないが、ステファン・ヴィンケルマンCEOは本誌の取材に対し、パワーとパフォーマンスの数値だけに頼ることはないと語っている。 ヴィンケルマンCEOはEV開発において「多くの市販EVをテストしている」とし、運転体験が必ずしも普遍的なものにはならないと強調した。 「多くの違いがあることがわかります。つまり、EVをブランドのニーズに合わせることが可能だということです」 新型EVはこれまでのどのモデルよりもパワフルで、加速力も相応に高いはずだが、同社が重視しているのは、ランボルギーニ独自のユニークな運転体験を提供することだという。 「確かに数値は重要です。出力については、少なくとも1メガワット(1360ps)に達します。これは確かです。これは、未来のパフォーマンスを測定する柱の1つとなります」 「ですが、ランボルギーニにとって、これらの数字よりもはるかに重要なのは、クルマに乗ってどう感じるかです。パフォーマンスは2種類に分けられます。1つは加速、最高速度、ラップタイム、ブレーキ挙動です」 「これをエモーショナルな側面に変換しなければなりません。ランボルギーニに乗るお客様は皆、ランボルギーニにはエモーショナルな部分があることを認めています。これはEVも同じでなければなりません」 ヴィンケルマンCEOは、電動スーパーカーのパワーウェイトレシオは「驚くべき」ものになると示唆したが、「重量は現在よりはるかに重くなるだろう」と認めた。 そこで、ダイナミクスにおける魅力を高めるため、「ソフトウェアの可能性」や新たなパワートレイン技術を模索している。 「加速、最高速度、航続距離の両立……わたしがこの話をすると、エンジニアたちはいつも頭を抱えてしまいます。あらゆる意味で、これを最高レベルで実現するのは、ほぼ “ミッション・インポッシブル” です」 ランボルギーニのエンジニアたちは現在、このバランスを実現するために「懸命に取り組んでいる」という。プロトタイプのテストにはまだ至っていないが、「クルマの中身がどうなるかはわかっています。このタイプのクルマで説得力を持たせることには自信がありますから」とヴィンケルマンCEOは語った。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)