「インドの富豪」アダニの資産が約1.9兆円減少、米当局による不正告発で
インドの財閥アダニ・グループを率いるゴータム・アダニの保有資産は、米当局からの告発を受けて大幅に減少した。米司法省は、アダニとグループ傘下の再生可能エネルギー企業の幹部らが2020年から2024年にかけて、太陽光エネルギー事業契約を獲得するために共謀してインド政府に2億5000万ドル(約390億円)超の賄賂を支払ったとして、アダニらを起訴した。 米証券取引委員会(SEC)も、アダニが連邦証券法の反詐欺規定に違反したとして告発。これを受け、グループの旗艦企業であるアダニ・エンタープライズとアダニ・ポーツの株価は最大23%下落し、アダニ・グリーン・エナジーの株価も約20%下落した。また、同グループは6億ドル(約930億円)の社債の発行を中止したとブルームバーグが報じている。 フォーブスのリアルタイムデータによると、アダニの保有資産は、11月21日に121億ドル(約1兆8700億円)減少して577億ドル(約8兆9000億円)に沈んだ。アダニ・グループの事業領域は、空港や鉱業、港湾、セメント、発電などの多岐に及んでいる。同財閥の広報担当者は、これらの告発は根拠がないとして「あらゆる法的手段を講じる」と述べている。 司法省は、証券詐欺と通信詐欺の共謀の罪でアダニとグループの他の幹部を起訴した。一方、検察は、アダニらが虚偽または誤解を招く声明を通じて、7億5000万ドル(約1160億円)を調達し、そのうちの1億7500万ドル(約270億円)が米国の投資家から集めた資金だと主張している。 これらの告発は、昨年、米国の空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチによって、株価操作や会計不正を行ったと非難され、大規模な株価の急落に直面したアダニ・グループに新たな試練を与えることになる。 さらに、米司法省による告発は、同グループの国際展開の支障となる可能性もある。アダニは、先日のX(旧ツイッター)の投稿で、次期大統領に選出されたドナルド・トランプを祝福し、米国に100億ドルを投資して最大1万人の雇用を創出すると述べていた。
Yessar Rosendar