キリンの首はなぜ長いのか…その鍵はメスの生存戦略にあった(海外)
キリンの首が長い理由
メスのキリンは約2年ごとに出産する。妊娠期間は約15カ月だ。つまり、生殖できる期間のほとんどが妊娠中か授乳中ということになるとキャブナーは説明する。 生殖には多くのエネルギーが必要だが、メスのキリンは偏食であるため、「一番いい葉が取れるよう、首を茂みに向かって伸ばす」のだという。 メスは常に多くのエネルギーと栄養を必要としている。それが古代から何千年にもわたってこれほど長い首を発達させた理由だとキャブナーは考えている。 「この研究結果は、生殖を成功させるというより、餌をめぐる競争によって首が長くなったというダーウィンとラマルクの説に戻るようなものだ。しかし、重要な違いは、オスよりもメスに重点を置いていることだ」とキャブナーは述べている。 キャブナーによると、キリンの長い首の原因がオスではなくメスにあることを示唆したのは、彼らの研究が初めてかもしれないという。これはキリンの進化を理解するためだけでなく、オスとメスの行動の違いを理解するためにも重要であり、保護活動に役立つ可能性もある。 行動生物学者でキリンの専門家であるゾーイ・ロー(Zoe Raw、今回の研究には参加していない)は「この研究は、オスとメスが生き残るために用いる行動戦略の違いを理解することの重要性を示していると思う」と、Business Insiderに宛てたメールで述べている。 キャブナーらの研究は、キリンの保護を支援するための大規模な取り組みの一環として行われている。2015年、国際自然保護連合はマサイキリンを絶滅危惧種に指定した。違法な密猟や人間の干渉によって、マサイキリンの個体数は激減している。東アフリカではマサイキリンの狩猟は違法だが、密猟者はその肉や、健康に良いとされる骨髄や脳を求めて、今でも密猟を続けている。 新しい説が提唱されるたびに反発があるのが普通だが、ローによると、今回の研究は「生殖のための首」という定説を覆すのに十分な説得力があるという。 「何が進化を引き起こすのかを『証明』することはできないが、強固で現実的な証拠に基づいた理論を打ち立てるという点で、この論文は成功したと思う」とローは述べた。
Jessica Orwig