無添加、オーガニックにこだわると健康害する訳 「ジャンクなものも食べてもいい」と自然食品店の店長
ですが、懸念が残るのは、「日常的に複数の食品添加物をとり続けるとどうなるのか?」といったことは統計的に調べることがむずかしく、不透明な部分があることです。 たとえば、食パンに使われているのが保存料1つだけならば、「はい、食べても大丈夫です」と言えるのですが、たいてい添加物は1つではありませんよね。防カビ剤、pH調整剤、⾹料、乳化剤など、さまざまな添加物が入っています。しかも、そのパンの小麦が遺伝子組み換えだったら? その小麦にポストハーベスト農薬が残留している場合は?
添加物にしろ農薬にしろ、1つひとつの成分は問題がないとして、では数種類を重ねて摂取し続けても安全なのか? そこにきちんとした結論は出ていないのが現状です。実際、国内外で食品添加物が、がんや⽣活習慣病の要因の1つだろうと考える専門家や研究者も少なくありません。 ■塩分、糖分、油分の過剰摂取や味覚障害 また、近年指摘されているのが食品添加物によって塩分や糖分、油分を過剰に摂取してしまう可能性です。たとえば市販されている缶コーヒーには、角砂糖6個分の砂糖が使われているものがあります。ふつうに飲むには甘すぎますが、味や風味が添加物で調整されることで、甘さを感じづらくなるんですね。同じことは塩分や油分などでも言えます。
関連した話で、食品添加物は味覚障害の要因になっているという話もあります。どういうことかというと、ふだん私たちは味を舌の表面にある「味蕾」という小さな器官でキャッチしています。 味蕾がキャッチした甘味、酸味、苦味などは、神経を介して脳の味覚中枢へと伝わって、「甘い」「しょっぱい」といった味を感じるのです。しかしこの味蕾は、亜鉛不足によって代謝が落ちると言われています。つまり、亜鉛不足になると味がわからなくなりやすいのです。
食品添加物の中には、リン酸塩、ポリリン酸、フィチン酸など、亜鉛の吸収を妨げるものがあります。それらがよく使われるインスタント食品やファストフードに偏った食生活は亜鉛不足を招き、味覚障害を起こす可能性があります。 特に味覚が育つ前の子どもが加⼯食品ばかり食べていると、いつの間にか味覚音痴になり、それが原因で偏った食事をしてしまうことも危険視されています。 ■最終的には自分の身体が求めるほうを選ぶ 私は個⼈的に、味には「脳」が喜ぶおいしさと、「身体」が喜ぶおいしさがあると考えています。脳が喜ぶおいしさとは、たとえば、疲れて甘いものを欲したときのチョコレートやケーキを食べたときのおいしさ、ストレスが溜まったときのビールのおいしさです。舌や脳が満足する、刺激的で中毒性のあるおいしさですね。