【山口県】[光市]同じバス停に違う名称混在 JRバス撤退で3月末に解消 全国的珍事にバスマニア注目
山口県光市島田の国道188号島田市交差点近くに「島田市(しまたいち)」と「光製鉄前」という違う名称のバス停標識が同じバス停に並んでいる。島田市は中国ジェイアールバス、光製鉄前は防長交通のバス停だ。長年の珍事だったが、中国ジェイアールバスが3月末で光市内のすべての路線から撤退するため、この珍事は間もなく解消される。 (山上達也)
戦前の「軍兼用道路」に2つのバス停
光市内のバス路線は戦前に乗合自動車の営業を始めた地元の防長交通と、のちに国鉄バスや中国ジェイアールバスとなる「鉄道省営バス」にさかのぼる。 光駅から室積方面へは非常時には軍用機の滑走路に使えるようにと、幅が広く直線距離が長い現在の国道188号が建設され、路面電車を走らせる計画もあった。 このため島田川にかかる千歳橋は路面電車の荷重にたえられるように、他の橋に比べて多くの橋脚が設けられた。結局、路面電車が走ることはなかったが、たくさんの橋脚は今も千歳橋を支え続けている。 この道路は1953年、建設省(現国土交通省)から「国道188号」に指定された。その前後に、島田市交差点の上り線の西側の現在の山口銀行光支店近くに国鉄バスが「島田市」バス停を開設し、同交差点の上り線の東側に防長交通が「光製鉄前」バス停を設けた。 しかし「島田市」バス停は、交差点の手前で交通安全上の問題があり、バスを停車させる切り込みのスペースが確保しにくい難点があった。このため昭和40~50年代ごろに防長交通の「光製鉄前」バス停と同じ場所に国鉄バスの「島田市」バス停を移動させて、問題を解消した。 半面、下り線の「島田市」バス停は交差点の手前ではないため、交通安全上の難点はなく、現在まで問題なく使われてきた。
消える「島田市」バス停
ところが中国ジェイアールバスは3月末で光市内の路線をすべて廃止するため、上下線の「島田市」バス停も廃止となる。4月からは防長交通が中国ジェイアールバスの一部の便を引き継いで運行するが、バス停の位置や名称はすべて防長交通のものを使う。 同じバス停に違う名称のバス停標識があることは、全国的にも例が少ないため「バスマニア」の間では静かな関心を呼んでいる。 バス停近くの島田2丁目の会社員男性(37)は「二つ並んだバス停を撮影している人を最近よく見かけるようになった。もしかしてマニアの皆さんにとって、ここは聖地なんでしょうか」と話していた。