日立で次世代公共交通 市と日立製作所 2035年構想 自動運転やアプリ、10項目 茨城
次世代未来都市(スマートシティー)の実現に向けた共創プロジェクトに取り組む茨城県日立市と日立製作所が、2035年の同市の公共交通の将来像を示すグランドデザインをまとめた。通勤通学や高齢者向け次世代モビリティー(乗り物)の整備、経路検索から決済まで可能な統合アプリの導入など10項目を掲げ、12月に実現に向けて実証実験を始める。 両者は昨年12月に包括連携協定を締結。デジタルを活用しながら脱炭素と医療介護、交通の三つを軸に持続可能なまちづくりに取り組む。今回の構想は公共交通のスマート化の一環で、具体的な施策は段階的に進める。 市人口は11月1日現在、約16万3000人で、県内市町村別の人口規模は3番目。近年は毎年2000人以上が減少し、減少数は県内最多が続く。高齢化も進む中、構想は多様な移動手段を組み合わせて交通課題の解決やにぎわい創出につなげるのが狙い。 構想は統廃合が進む小学生が安全に通学できるよう自動運転車の運行を目指すほか、山側団地では高齢者が自宅から最寄りの交通結節点まで移動できる交通手段を整備する。 駅前では歩行者と次世代モビリティーが共存し、歩きたくなる「ウォーカブル空間」を設定する。 統合アプリは多様な公共交通を利用する際に最適なルートを検索でき、予約から支払いまで完結できるものを目指す。自動運転を活用した移動型店舗は、遠隔診療を受けた住民が薬を自宅まで届けてもらうことなどを想定する。 既存の公共交通の利用を促進して渋滞緩和につなげるため、公共交通から次世代モビリティーへ円滑に乗り継げるサービスも確立する。交通移動サービスの拠点を集約し、交通データや人工知能(AI)技術も活用しながら安全安心な交通計画と運行を目指す。 構想策定に当たっては、市職員と同社員が継続的にワークショップを開催。将来の交通サービスや技術の進展を見据え、地元の交通事業者の意見も踏まえながら必要なサービスなどを具体化した。 12月7、8の両日、同市幸町の日立シビックセンター新都市広場で、実証実験を兼ねた「ひたち次世代モビリティフェス」を開く。 来場者はカート型やベンチ型自動運転など4種類のモビリティーを試乗できる。市と同社は有効性や課題を検証する。
茨城新聞社