103万円の壁引き上げ 長崎県と21市町で500億円減収 県試算「影響少なくない」
年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」を国民民主党が要求する178万円まで引き上げた場合、長崎県と県内21市町で年間計約500億円の減収が見込まれることが20日、県への取材で分かった。歳入のうち住民税や国が所得税を原資に配分する地方交付税が減少すると想定され、県は「影響は少なくない」としている。 政府は同党の要求に沿って所得税や住民税の制度を見直すと、地方自治体の減収が年間で5兆円強に上ると算出。県は、この数字に県や21市町が占める割合を当てはめて試算した。 試算によると県は約240億円(うち県民税約110億円、地方交付税約130億円)、21市町は約260億円(うち市町村民税約160億円、地方交付税約100億円)がそれぞれ減る。 県の本年度一般会計当初予算の総額は約7348億円。歳入のうち県民税は約354億円、地方交付税は約2322億円に上る。県民税や地方交付税は用途が限定されない一般財源で、インフラ整備や教育、福祉、医療などの公共サービスなどに充てている。 自民と公明、国民の3党は「103万円の壁」引き上げで一致し、今後は引き上げ幅などが焦点となる。県は「政党や国の議論を注視する」としている。