【佐々木主浩】対照的なチーム状態が表れた一戦 巨人は適材適所での起用が首位走る要因の１つ
＜広島2－8巨人＞◇20日◇マツダスタジアム 首位巨人と4位に転落した広島の対照的なチーム状態が表れた一戦だった。9月に入って失速する広島は攻守でミスが目立ち、自ら流れを渡した。0－0で迎えた2回、先頭の坂倉が安打で出塁したが、1死後にけん制死。走塁ミスで流れを悪くし、直後の3回表に2死無走者から巨人打線につながれ、一気に4点を奪われた。 【イラスト】セ・リーグ優勝ライン 失点した場面は、先発の大瀬良が2死一塁で2番浅野を2球で追い込みながら、四球を与えたことが痛かった。得点圏に走者を置いた状況で絶好調の吉川、岡本和に回り、大量点を許した。エースならば、あの場面での四球は絶対に避けなければいけなかったし、投手の視点から見れば痛すぎるミスだった。 その裏の攻撃では、1死一塁から大瀬良がバント失敗で併殺打。4回には3連打で1点を返し、なおも無死一、二塁から坂倉、堂林が連続三振に倒れた。坂倉は4番で起用されたが、4番目の打者であり、セーフティーバントの構えで揺さぶるなど、何とかつなぐという意識を見せてほしかったし、あと1点でも返せば試合はわからなかった。 7回の4失点も菊池の失策がきっかけだったが、チーム状態が悪い時は単純なミスをなくし、当たり前のプレーを当たり前にすることが大事になる。広島も9月上旬まではそういう戦いで首位に立っていたし、基本に忠実な野球が求められる中で、好調なチーム相手にバントミス、走塁ミス、余計な四球が出れば勝つ可能性は低くなる。 その一方で、優勝というゴールが見えてきている巨人は、強いチームの戦いだった。4点を先取した3回の浅野の四球は、守備側からすれば大瀬良のミスだが、攻撃側から見れば粘った末の大きな四球だった。戦いの形もしっかりできていて、6回にモンテスが出塁するとオコエを代走に起用。そのまま左翼に入れ、早々と守備固めに入った。 投手交代でも打つ手が早く、試合の流れを渡さなかった。先発井上を5回1失点で交代し、6回から高梨にスイッチ。2死一、三塁を招くと、菊池にサイド右腕の船迫を起用し、ピンチを脱出した。昨年はリリーフが課題だったが、今季は8、9回の投手が安定。リリーバーがそろっていて、適材適所での起用が首位を走る要因の1つに挙げられる。（日刊スポーツ評論家）
