球界大御所が辛口評論「阪神快進撃は本物じゃない。巨人がだらしないせい」
球界大御所の厳しい指摘の矛先は、3勝1敗、防御率1.67(規定投球回に届かず)の成績を残しながらも、25四球(セ・リーグでワースト2位)など、不安定さが残る藤浪晋太郎にも向く。 「藤浪は勿体ない。あれだけの素材を持て余している。ここまでの数字は言い方は悪いがまぐれだ。やはり投球フォームのフィニッシュも含めてメカニックがおかしいのだろう。本人が問題点をわかっているのか、コーチもわかっているのか。もっと勝てる投手だ」 藤浪は14日の横浜DeNA戦も7回2失点のハイクオリティスタートを守ったが、立ち上がりに安定せず失点するなど5四死球を与え、広岡氏が言うように勝ち星がつかなかった。 「バランスがよくなかった、反省すべき点は反省して次に生かしたい」と本人も語っていたが、その反省すべき方向性を本当に理解しているのだろうか。 ただ広岡氏は、無傷の5連勝中のエース、メッセンジャーと、9年目にして覚醒しローテ入りを果たしている秋山については、辛口ではなく甘口の評価を与えた。 「メッセンジャーは褒めてあげたい。マウンドから懸命さが伝わってくるし、おそらく中5日、中6日の間の調整の仕方が公私を含めて素晴らしいのだろう。だからこそ、あれだけの好調をキープできているんだと思う。他の投手にとっても最高の手本ではないか。またやっと出てきた秋山は、いいピッチャーだ。コントロールも抜群にいいが、変化球全盛の時代に力のあるストレートを軸に組み立てている。私は、大げさでなく、巨人の菅野と双璧をなすピッチャーだと評価している。ある意味、阪神の快進撃を支えている一人だ」 広岡氏は、防御率2.77ながら2勝2敗と勝ちに恵まれていない秋山をWBCで日本のエースとしてアメリカに立ち向かった巨人の菅野と並ぶほど高く評価している。 「おそらく金本監督もわかっているだろう。今はセのトップの位置にいるが、決してそれが本物でないことを心して、反省を忘れずにチームを構築していかねばならない。巨人を始めとして、他のチームがたいしたことがないだけに十二分にチャンスはあると思う」 金本監督は、3年ぶりの貯金「10」を決めた14日の試合後も、「今は勝ち方を確立するのが目標。反省すべきところはしっかりと反省していかなといけない」と気を引き締めていた。 守備の整備を含めて、広岡氏の苦言の中身は、当然、理解している。本物の強さを求めて、今、やるべき仕事は山積みなのである。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)