「すぐやる人」が必ずしも「仕事のできる人」とは言えないワケ…何でもすぐやることの意外なリスク
---------- 「すぐやる人」は「仕事のできる人」……。そんなイメージを持っていないだろうか? 著書に『このプリン、いま食べるか? ガマンするか? 』がある編集者の柿内尚文氏は、必ずしもそうではないと指摘する。その納得の理由と、「即断・即決・即実行」の問題点について解説してもらった。 ---------- 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」
「すぐやる人」は仕事のできる人?
「すぐやる人」というテーマの本は、出版の世界ではよく売れます。 それだけ「仕事をためてしまう」「ぐずぐずしてしまう」ことに課題を抱えている人が多い表れです。 すぐやる人は、仕事のできる人とほぼ同じ意味になっているのではないでしょうか。 実際に大きな結果を出している有名経営者には、そういう人が多くいます。 ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長は、インタビューで「即断・即決・即実行」と話しています。 優秀な経営者が、なぜ即断・即決・即実行ができるかというと、日々そのことを考え続けていて、準備をしているからです。 やみくもに即断・即決・即実行をしているわけではありません。カンだけでやっているわけではないのです。
「すぐやらないほうがいい時」もある
なんでもすぐやってしまうと、準備もせずにいきなりやるので余計なことをしてしまうリスクもあります。 知人からこんな話を聞きました。 「会社の後輩が『すぐやることは仕事ができること』と思い込んでいて、何でもすぐやるんです。でも、急ぎすぎてやり方が雑なんです。優先順位を間違ってしまったり、あとから何度も訂正しなくてはならなかったり。結局、周りに迷惑がかかってしまう。そのフォローで上司も時間をとられてしまうんです」 これぞ、すぐやる誤解をしている人ですね。 「すぐやらないほうがいい時」もあるのです。
あとで時間をつくり複数の視点で考え直す
これまで多くの人と仕事をしてきましたが、「すぐやる人」の中には、「やるべきか、やるべきでないか」「今やるべきか、あとでやるべきか」の判断をしないままに、とにかくスタートさせてしまう人がいました。 理由は、「すぐやることが大切」と思い込んでいるからです。 また、即断即決を相手に迫るのもリスクがあります。 相手の準備ができてない中で迫ると、冷静な判断がされないからです。 その場の流れや思いつきで、間違えたことが決断されてしまうリスクがあります。 そういう時は、その場で決断をしないことも必要です。あとで時間をつくり、複数の視点で考え直すことも大切なのです。気づかなかった部分に気づくことがよくあります。 すぐやることで、かえって時間を奪われていないか見直してみてください。
柿内 尚文(株式会社アスコム取締役)