家業の借金4億円を肩代わり、会社員も起業も行き詰まり…投資家・山本一郎の20代
情報が氾濫し先行きが見えない時代、「自分の生き方に確信が持てない」という20代のビジネスパーソンは少なくありません。仕事スキルも人脈もこれからというなかで、どのように人生の方向性を決めていけばよいのでしょうか。 家業で4億円の借金、学ランで銀行回った"投資家としての原点" 今回は、個人投資家を経て経営者になった山本一郎さんにインタビュー。「2ちゃんねる」(現在は5ちゃんねる)の共同設立者として知られるとともに、“切込隊長”のペンネームで人気ブロガーの地位を確立し、時に著名人との論争や“炎上”を巻き起こしながらもブロガーやコラムニストとしてさまざまな媒体で発信してきました。 20代前半で家業が倒産の危機に陥り、留学先のアメリカから日本に呼び戻された山本さん。学ランを着て交渉のために銀行を回り、最終的には自身が4億円超の負債を肩代わりすることを決心したといいます。なぜ、自らをあえて窮地に追い込むような選択をしたのでしょうか。普段あまり語ることのない、職業人としての原点を探りました。
---------- 山本一郎(やまもといちろう) 作家、個人投資家。東京都出身。20代で投資に目覚め、家業の負債4億円を肩代わり。後にひろゆき氏と「2ちゃんねる」を立ち上げると共に、ブロガーとしても活躍する。現在はIT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わりつつ、介護や子育て、投資と研究に人生を捧げている。 ----------
原点は、大学時代に始めた株式投資
”切り込み隊長”のニックネームでブロガーとしても知られるほか、コラムニストやYouTuberとしても多くの媒体で発信活動を続ける山本さん。しかし、インターネット上でその名前を聞いたことがある人は多くとも、一体、何を生業にしているのか分からない、謎めいた印象もあります。現在はどのような活動をしているのでしょうか。 山本:主に投資業です。海外だとアメリカやオーストラリア、南ヨーロッパなどの商業施設に関連するREIT(不動産投資信託)の組成に関わり、日本ではニセコのスキー関連施設への出資や、新潟や熊本といった地方都市の集合住宅への不動産投資を手がけています。 全体の収入のうち、投資業が大部分を占めていますが、関係会社に運営を委託することが多いため、仕事に費やす時間としては15%くらいの割合になっています。 残りの85%くらいは物書きの仕事をしたり、ペンネームでシナリオを書いたり、IT関連のコンサルティングや知的財産権管理のサービスを提供したりと、さまざまな仕事をしています。 また、長年にわたって選挙地盤の調査や、有権者の意見をまとめたデータ解析など、選挙関係の仕事にも携わっています。 私のキャリアを言葉にまとめると「取材」「語学」「数学」という3つのキーワードに集約されると考えています。 媒体での執筆や本の出版、外資系企業との交渉や折衝、統計学と数学の知識を活かしたデータ分析みたいなものは、まさに先ほどのキーワードを体現しているものだと言えるでしょう。 新NISAが始まり、日経平均が過去最高値を更新したことで「オルカン」や「S&P500」などのインデックス投信への積み立てがブームになっています。 しかし、現在投資家として身を立てている山本さんのキャリアの原点は、1990年代初頭のインターネットバブルの時代。パソコン関連の個別株に投資するところから始まったそうです。