訪日客は過去最高ペース…大阪・関西万博も外国人が盛り上げるのか(中西文行)
【経済ニュースの核心】 日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)で自前のパビリオンを建設する予定だったアルゼンチンが撤退することが今月20日に分かった。自前のパビリオンを予定していた参加国の撤退はメキシコ、ロシアに続き3カ国目である。 【写真】2時間待ちもザラ!東京タワーの「映え」スポット…訪日客殺到、ここは大丈夫? 海外パビリオンは、当初は60カ国が自前で建設する「タイプA」を予定していたが、物価高や人件費の高騰などの影響で建設業者との契約が難航。このため協会が「タイプX」と呼ばれる簡易型の建物9棟の建設を進めているというが、外交の影響はないのだろうか。 政府の成長戦略、「観光立国」の目玉「大阪・関西万博」。日本政府観光局によるこの5月の訪日外国人数(推計値)は、前年同月比60.1%増の304万100人となり、コロナ禍前の19年5月比では9.6%増だ。 年初から5カ月間の累計は1464万人と、年間で過去最高を記録した19年の1~5月(1375万人)を上回った。中国からの訪日客数が5カ月で6.2倍と増勢を牽引している。 「大阪・関西万博」は、25年4月13日から10月13日までの開催。来場者総数は約2820万人で国内約2470万人、海外約350万人と想定されている。広い会場、多くの入場者、1日で全てのパビリオンを見るのは困難で宿泊する人も多いだろう。 ■5年5月の訪日外国人は362万人に 海外来場者約350万人を1カ月当たりにすると約58万人、この5月の訪日外国人に単純加算すると25年5月の訪日外国人は362万人となる。関西圏(大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀、和歌山)のホテルは、フル稼働、交通機関も小売店も売り上げアップである。 政府は「25年までに19年水準(3188万人)を超える」との目標を掲げており、達成も濃厚となったようだ。この「大阪・関西万博」景気に便乗、裏金問題なども忘れられ、政府与党の支持率も上がり、その時の自民党総裁は、早々に解散総選挙を探るだろう。 足元、東京都知事選挙は国政選挙の試金石ともみられ各党とも全力である。人の移動は景気にプラスだ。 上場企業の株主総会が連日開催されている。議案に物言う株主の存在感も目立つ。他方、多くの有権者にとり、利害が直接影響しない主要選挙では、投票率が過半を割り込む場合が多い。国内では進歩的な有権者が多いと思える大都市。東京の知事選挙が株式市場へ与える影響は不明だが、有権者は高齢化している。7月7日投開票日の天候も重要である。 (中西文行/「ロータス投資研究所」代表)