避難発令の改善を 台風13号検証チームが福島県いわき市に対策指針 分かりやすい表現で
福島県いわき市に甚大な被害をもたらした昨年9月の台風13号の豪雨災害で、東北大などでつくる災害検証チームが5日に市に提出した最終報告書は、避難情報の発令の仕方や避難所運営など複数の項目で改善を促した。 避難情報発令では、迅速な避難を促すために市全域への発令を極力、避けるよう求めた。一方、台風の進路や線状の発生場所が予測しづらい場合、ちゅうちょなく全域に発令すべきとした。 避難所運営に関しては、住民が避難をためらわないように避難者の有無に関わらずパーティションを設置するなどプライバシーの確保を訴えた。災害情報を発信する際は専門用語をなるべく使わず、分かりやすい表現をするよう提案した。 浸水被害が集中した内郷地区の住民に行ったアンケート結果も公表した。住民で避難したのは全体の11%で、自宅が被害に遭ったのは36%だった。また、車を避難させた住民のうちそのまま避難した人は2割にとどまり、8割が「家に被害はないと思った」などとして自宅に戻っていたことも分かった。検証チームは今後、アンケート結果を踏まえた住民説明会を開く方針。
検証チームを統括した東北大災害科学国際研究所の柴山明寛准教授は「ハード対策には限界があるので、ソフト対策を市役所を中心に進めてほしい」と指摘した。