英紙が注目 高齢化を食い止められるか?「女漁師」が日本の漁業を変える日
業界を変える必要性
国はさまざまな施策を打ち出しているが、水産業で働く女性の割合は低いままだ。同じく人材不足にあえぐ農業や運送業なども、十全に活用されていない女性労働力の獲得に動いている。 これまでも、水産業に関心がある女性を対象にした漁業就業者募集のイベントが東京で開かれてきたが、2023年の調査では、新規採用を希望する水産会社300社のうち、女性を採用すると回答したのはわずかに60社だった。 摂南大学農学部准教授の副島久実は、「漁業には男性でなければできないと考えられていた仕事がかつてはあったが、いまはそうではない」と強調する。 「機械化やトイレの設置が進み、女性でもはるかに働きやすくなっています。必要なのは意識改革と、ちょっとした創意工夫だけです。全体として水産業界は家父長的な文化が浸透し、高齢男性が序列のトップに立っていますが、それを変えなくてはなりません。日本の漁業が生き残るためにはもっと多くの人を呼び込む必要があり、そこには女性も含まれます。女性にも門戸を開くべきなのです」 重茂漁港では、菜摘が獲れたばかりのタコを誇らしげに見せてくれた。このタコは、夫とともに地元市場に出荷する。彼女は、「漁獲物でいっぱいになった網の引き揚げはひと苦労」だと認めながらもこう話す。 「漁は、海のしけ具合に大きく左右されます。夫が船上作業をすることもありますが、私がおこなう場合もあります。あとは慣れですね。女性にも、ぜひ漁業をやってみてほしい。いまは昔と違います。その気になれば、女でも何だってできる時代なんです」
Justin McCurry