ブラジル代表、10年ぶりにスポーツ心理学者がスタッフ入りを果たす
選手たちも専門家の導入を歓迎
フル代表スタッフの新体制発表会見で、マリーザは語った。 「スポーツ心理学には主に 2 つのラインがあります。1つはプレーと結果、パフォーマンスに関するもので、チームの結束力、リーダーシップ、不安やプレッシャーへの対処、思考のコントロール、そして選手たちが抱えているかもしれない様々な問題に取り組み、彼らが最高の技術的および戦術的パフォーマンスを発揮できるように手助けするものです」 「もう 1つはメンタルヘルスに関するもので、選手たちを受け入れ、私たちが仕事に取り組む上で非常に重要なことです。これは世界的な問題であり、私たちは可能な限り最善の方法で手助けするためにここにいます」 選手たちからも歓迎の言葉を聞いた。FWリシャーリソン(トッテナム)は先日、『ESPNブラジル』へのインタビューで、イングランドで家族と同居するほど信頼していた代理人に、金銭面で裏切られていたことを知り、サッカーをやめたくなるほど落ち込んだことを泣きながら明かして話題となった。代表遠征中の会見でも、昨年9月以降、心理学者の治療を受けていると語った。 「ピッチの内外で受けるプレッシャーを知っているのは僕らだけだから、代表チームでも、心理学者が身近にいてくれるのは大事なことだ。一部には、心理学者の手助けを求めることへの偏見があるかもしれない。僕自身、偏見があった。でも、今はブラジル代表選手としての発言力を生かして、本当に助けを求めるようにと、人々に言いたい。僕の場合はそれが命を救ってくれたんだから」 以前から言葉によるセラピーの組織を立ち上げるほど、心理学を重要視している右SBダニーロ(ユベントス)もこう語る。 「ブラジル代表に心理学の専門家がいることに賛成だ。サッカーにはフィジカル面、技術面などがあるから、それが勝つための主要なポイントではないと思うけど、メンタル面は基盤を作り、ブラジルが勝つ可能性を高めるために、とても大事なことだ」 「無理強いすることでもない。必要な時に助けを求めることができる、という理解が必要なんだ。まずは動機があって助けを求め、結果が出れば、その後は選手たちのポテンシャルを発揮させるためのアイデアとして、みんなが理解するようになる」 W杯カタール大会前、サンパウロスポーツ心理学協会会長が「心理学者の存在は勝利を保証するものではないが、心理学者の不在が敗北を決定的にする可能性がある」と、語っていた。 求め続けているW杯6度目の優勝に向けた多くの取り組みの1つとは言え、「やれることをやってみる」というブラジルサッカー連盟の思いが表れる人事となった。