タモリ、桑田佳祐、藤井聡太の“神回答”から学ぶ「とっさに答えられるコメント力」の磨き方
会話のキャッチボールの中で、ふいに投げかけられた言葉にうまく答えられなかった──。仕事やプライベートで、そんな経験をしたことは誰もが一度はあるだろう。また、相手のとっさの質問に答える中で、改めて自分の思考や価値観に気づくこともある。そして、何げなくした返答が、相手の心を打つ「神回答」となることも……。では、一線で活躍し、コメントがメディアで取り上げられることも多い著名人たちはどんな名言を残しているのか。タモリ、桑田佳祐、藤井聡太の「神回答」を紹介する。 【写真】「相手のイメージを膨らませる神回答」をする藤井聡太 (*)本稿は『「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』(真山知幸著/小学館)の一部を抜粋・再編集したものです。 ■ 「神回答」とは何か? 状況はまるで変っていないにもかかわらず、その言葉を聞いた瞬間に、ふっと気持ちが楽になったり、視界がぱーっと開けたりするような言葉がある。私は、そんな「人生の風景が変わる言葉」を「名言」と定義づけし、これまで多くの名言集を書いてきた。 しかし、実はそんな名言には、2つのタイプがある。ひとつは「一人の思考から生み出された言葉」。そして、もうひとつが、「会話のやりとりから発せられた言葉」である。 後者こそが、いわゆる「神回答」と呼ばれるもので、その場でとっさに出された言葉ゆえに、物事の本質を鋭く突くこともあれば、相手に優しく寄り添ったり、勇気を奮い立たせたりすることもある。 神回答には8つの効能があると私は考えているが(8つの効能については後述)、この記事では、そのうち「心がスッと楽になる神回答」「人間関係を円滑にする神回答」「相手のイメージを膨らませる神回答」をした著名人をそれぞれ一人ずつ挙げて、解説していきたい。
■ タモリの「心がスッと楽になる神回答」 2023年5月31日、放送文化の向上に貢献した番組や個人・団体を表彰する「第60回ギャラクシー賞」において、タレントのタモリが「放送批評懇談会60周年記念賞」に選出。 司会の口から出た「多趣味」という言葉を受けて、タモリがスピーチで切り出したのが、この言葉だ。 「僕はあれ(多趣味と)自分では絶対言わないんですよ、なぜかというと挫折の歴史なんですよ」*1 さらにこう続けている。 「根性がないんで、これが面白いな、とその分野に行くと先人たちのすごい人たちがいっぱいいるんで、すぐ諦める。で、また次に行って、全てがやることなすこと中途半端ってやつですから」 誰もが自分と違うタイプに憧れがちだ。多趣味の人は一つのことを突き詰めている人に対して、関心の幅が狭い人はさまざまな分野に精通している人に対して、引け目を持ちやすい。「今の自分を変えたい」という思いも大切だが、それだけでは疲れてしまう。 タモリは「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のような長寿番組を続ける秘訣について、こう語っている。 「反省なんかしません。反省なんかしたら毎日やっていけませんよ。悪いこといっぱいあるんだもの。俺が自分の番組一切見ないのも、悪いことばっか見えちゃうから」*2 趣味に限らず、大事なのは「無理しないこと」と「自分に失望しないこと」。SNSで人と比べてしまいがちな現代人こそ、タモリの考え方はインストールしておきたい。 【神回答ポイント】 追い立てられるように趣味を持つ必要はない。気負うことなく、その時々の自分がやりたいいと思うことを始めてみよう。