世界のVIPも絶賛！ 大阪カタシモワイナリーのめっちゃ陽気な経営術
ここでしか味わえないワインを提供
かように昨今、カタシモワイナリーのワインをはじめ、日本のワインが国内外でのコンクールでも高い評価を受け、注目を集めるようになった。1976年からワイン造りに携わっている利洋氏は、今の日本ワインの隆盛をどのように受け止めているのだろう。 「日本のワイナリーは現在、500社を超えていると思いますが、1976年当時は10数社あるかどうかでした。とてもやないですが、今の状況は想像出来なかったですね。我々も、ぶどう狩りのお土産用としてワインを作っていたような時代で、インターネットもなく、酒販店専門の問屋しか、販売ルートがありませんでした。 日本のワインがここまでになったのには様々な理由があると思いますが、一番は時代が変わったこと。全ての価値基準が多様化しましたね。 例えば旅行。団体旅行で、皆が知ってるところへ行くんやなくて、誰もが行ってない、あまり知られてないけどほんまにええとこを探して、個人が旅行するようになった。ワインもそうで、ワイン=海外のものだったのが多様化して、我々のワイナリーにもスポットが当たり、メディアに取り上げられる機会が増えた。ワインには人を集める魅力があるんです。ここでしか飲むことができないワイン、ここでしか会えない人、ここにしかない風景。それが一番大事なんですわ」
ちっこいとこが声あげなあかん
西日本ワイナリー協会初代会長、そして大阪ワイナリー協会、関西ワイナリー協会の現会長を務める利洋氏。協会を設立した目的は、各地域のワインの認知度を高め、需要の喚起を促す、会員同士の情報交換や技術協力などがあるが、それ以外にも大きな理由があるという。 「相談もなしに、何でも東京中心で決めよるやろ。大手の声ばっかり聞いてな。腹立つやん。そやから関西、そして西日本のワイナリーを集めたんや。ちっこいかも知れんけど、今は、個人でも、大きい企業に立ち向かえる時代やで」(利洋氏) 2018(平成30)年、いわゆる「ワイン法」が施行された。この法律、正式には「果実酒等の製法品質表示基準」という。国内外で評価を得てきた日本ワインのブランド確立や品質維持のために新たな枠組みが必要という理由から、ヨーロッパの産地呼称制度などを参考に作られた。 しかし、この基準を決める際、関西のワイナリーには相談すらなく、大手の会社と北海道、山形、新潟、山梨、長野の酒造組合だけが出席した会合で大枠を決められてしまった。 「大阪ワイナリー協会は2012(平成24)年に設立してたんですが、それでは数が足らん。それで、関西のワイナリーに声をかけて、関西ワイナリー協会を作った。それでも、日本ワイナリー協会を動かせんかった。あかん、これでは話にならんと頭にきて、西日本のワイナリーを回って2019(平成31)年、65社からなる西日本ワイナリー協会を作ったんです。 当時、日本ワイナリー協会の会員は100社余りで、それでようやく、国税庁も日本ワイナリー協会も、僕らを無視できんようになった。西日本ワイナリー協会にもお伺いたてんと、ということになったんや(笑)。ちっこいワイナリーの集まりがいかに力があって、おもろいか、実証できたんが嬉しかったね。今、みんな大人しいからおもろない。黙ってたらあかんねん」(利洋氏) 隣で麻記子さんがキャラキャラと笑う。 「パッションで生きてるからね(笑)。私ら、ほんまに何でも言うんです。仲間内でもワーワー言うけど、あとはサッパリ。大阪っぽいでしょ(笑)」
