「専業主婦はもらえる年金が少ないかもよ」と言われました。実際どうなのでしょうか?
専業主婦は、国民年金の第3号被保険者に該当し、将来的に受け取れるのは国民年金です。国民年金に加えて厚生年金の受給権を有する、会社員や公務員などの第2号被保険者と比べて、もらえる年金額は少ないことをあらかじめ認識しておくとよいでしょう。 本記事では、専業主婦が加入する年金制度をはじめ、将来的にもらえる年金額はどのくらいなのか、年金額を増やす方法などを解説します。
専業主婦がもらえるのは国民年金
日本の年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造となっています。働き方などによって加入する年金が図表1のように異なり、専業主婦は国民年金の加入対象です。
日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」より筆者作成 国民年金は職業や所得別に被保険者区分が図表2のように分類され、そのうち専業主婦は第3号被保険者に該当します。
日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」より筆者作成 第3号被保険者の国民年金保険料は、第2号被保険者が加入する年金制度によって負担します。第3号被保険者の加入する年金制度が国民年金ですが、毎月の保険料を自分で払い込む必要はありません。 ◆専業主婦がもらえる年金額はどのくらい? 専業主婦がもらえる国民年金は、保険料の納付期間に応じて決まります。令和5年度分の国民年金の満額は年79万5000円(月額6万6250円×12ヶ月分)となり、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)、国民年金保険料を欠かさず納付した場合にもらえる金額です。 それに対し、国民年金保険料を納付できなかった期間がある場合は「79万5000円×(納付月数÷480ヶ月)」にて、もらえる年金額を計算します。 なお、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の平均受給額は、65歳以上の男性は16万7388円、65歳以上の女性は10万9165円です。厚生年金と比べて、専業主婦がもらえる年金額は少ないと認識してよいでしょう。 ◆老後資金が用意できない場合は繰上げ受給も可能 年金は、原則として65歳から受け取れます。ただし、配偶者の退職などを理由に老後資金を用意できない場合には、年金の繰上げ受給によって60~64歳11ヶ月までの間に前倒して受け取ることも可能です。 ただし、年金の受取開始時期を1ヶ月繰上げるごとに0.4%(最大24.0%)の減額率が適用され、年金額が減ることを避けられない点に注意してください。