和紙を超える和紙…桂由美さんの越前和紙ドレス 福井県越前市で10月16日から特別展
今年4月に亡くなったブライダルファッションデザイナー桂由美さんが越前和紙で制作したドレスを集めた特別展「Yumi Katsura 和紙ドレス展~越前和紙の可能性~」が10月16日から、越前市紙の文化博物館で開かれる。26日にはドレス制作に携わった和紙職人やデザイナーによるシンポジウムなどの関連イベントを市内で開催。日本の伝統美を世界に伝えるために桂さんが選んだ越前和紙の可能性を発信する。 桂さんは2002年、越前和紙で制作したドレスをローマオートクチュールコレクションで発表。以降、パリ・コレクションや東京の舞台でも披露した和紙ドレスは、「和紙モード」として称賛された。市は昨年4月に桂さんに協力を依頼し、越前和紙の発信事業を企画していた。 特別展では、02年にローマ、03、04年にパリで発表した9着と、15年に東京で発表した3着の和紙ドレスを披露。ファッション界に驚きと感動を与え、「和紙を超える和紙」と称された独創的な作品を間近で見ることができる。12月9日まで。 和紙ドレスの素材となった越前和紙は、いずれも長田製紙所(同市大滝町、長田和也社長)が制作を担当した。26日午後1時半から市いまだて芸術館で開く関連イベントでは、展示ドレスの制作にも携わり桂さんが後任の一人に指名したデザイナー飯野恵子さん、長田社長、山田賢一市長がシンポジウムで対談する。民族衣裳文化普及協会との連携で伝統文化をテーマにしたトークや「十二単(ひとえ)ショー」も行われる。 桂さんの死去後、葬儀の代わりに開かれたのは追悼ファッションショーだった。桂さんの意向をくんだ計らいだったという。市和紙・打刃物・たんす課は「桂さんが築いてきたのは陽のブランド。未来に向かって越前和紙や伝統文化をつないでいく機会にしたい」としている。