自身の妻と小学生の子ども2人を殺害した男に求刑通り懲役30年の実刑判決 「完全責任能力」を認める
テレビ愛知
自身の妻と小学生の子ども2人を殺害した罪に問われた男の裁判が7月9日に開かれ、名古屋地裁は男に懲役30年の実刑判決を言い渡しました。 起訴状などによりますと、電気通信工事業の田中大介被告44歳は2022年8月、当時住んでいた扶桑町の自宅で、妻の智子さん当時42歳の首を絞めて殺害した後、犬山市内にとめた車の中で長女の千結さん当時9歳と、長男の十楽さん当時6歳を殺害した罪に問われています。これまでの裁判で、田中被告は起訴内容を認めています。
裁判の争点は「責任能力の程度」
この裁判で争点となっているのは「責任能力の程度」です。 田中被告は医師の精神鑑定で、3人を殺害する前の2022年6月ごろから「妻の智子さんからスマホにウイルスを仕込まれ、盗聴や盗撮をされている」などという妄想を抱いた「妄想性障害」であったと、診断されています。 検察側の冒頭陳述によると、2022年8月9日の朝、田中被告は当時住んでいた扶桑町の自宅で、妻・智子さんに「家の電灯に盗聴器を仕掛けたか」などと尋ねたところ口論に。智子さんから離婚を求められたことに激高し、智子さんの首を両手で絞めるなどして殺害しました。 その後、田中被告は長女の千結さんと長男の十楽さんを車に乗せて、犬山市内の山中に移動。「人殺しの子どもとして生きるのはつらい思いをするから」と一緒に死ぬように迫り、2人の首をひもで絞めるなどして殺害したことが分かっています。 今回の裁判は、妻・智子さんの殺害時に、田中被告の妄想性障害の影響がどの程度あったか“が最大の争点となりました。 これまでの裁判で検察側は、「妻・智子さんを殺害した背景に妄想性障害の影響があったことは否定できない」とした一方で、「妄想性障害が犯行に与えた影響は限定的であり、妻・智子さんの殺害時には完全責任能力があった」として、懲役30年を求刑しました。 一方、弁護側は「妄想性障害の影響を抜きにしては、智子さんの殺害に至った理由に説明がつかない」「智子さん殺害時は心神耗弱状態だった」などとして、懲役25年が妥当と主張していました。
懲役30年の実刑判決に弁護側は控訴しない方針
9日の判決で名古屋地裁の久禮博一裁判長は、「妄想性障害が犯行に影響を与えた否定できないが、智子さんの殺害時は心神耗弱状態ではなく、”完全責任能力“があった」などとして、田中被告に対して求刑通り懲役30年の実刑判決を言い渡しました。 弁護側は、控訴しない方針です。
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