バドミントン不祥事でオフィス縮小しても報酬返納しても代表強化費捻出できず…旧体制のツケが現役選手に直撃
バドミントン日本代表を2004年から率いる朴柱奉(パク・ジュボン)ヘッドコーチ(HC、59)が11日、都内で取材に応じ、パリ五輪でのメダル獲得に向け、強化がままならない窮状を訴えた。日本協会は、元職員の横領など旧体制下での不祥事が続いた影響で債務超過の危機に陥っており、その余波で強化費が削減され、国内外の代表合宿が相次いで中止になっていると明らかにした。朴HCは五輪代表らの世界ランキングを例に挙げ「トータルで日本のレベルが東京五輪よりダウンした。全種目でメダルのチャンスはぎりぎりあるが、厳しいは厳しい。きつい五輪になる」と示した。 * * * 五輪を目前にしたこの時期に日本代表を指揮する代表HCが「厳しい」などと訴えることが異例だ。協会関係者は、パリ五輪代表に関する強化費は死守する方針だったが、大会派遣を優先して合宿の削減を決めたという。3月の全英オープン後、朴HCを含めたチームスタッフとオンライン会議を実施。「最後まで現場の賛同は得られなかったが、パリまでの予算も捻出できなかった」と説明した。 日本協会では、Jリーグ前チェアマンの村井満氏(64)が昨年6月に会長に就任。「全種目でメダルが目標」と掲げた五輪に向け「(予算を)かける」と明言し、スポンサー集めに奔走。「削れるところは全て削る」と協会内の改革も進めた。会長報酬も返納し、2フロアあったオフィスを1つ解約。費用の捻出に努めているが、代表強化費の予算不足の穴を埋め切ることはできなかった。 「パリの後は(強化費を)グッと減らす」と話していた方針を前倒しにするほど、協会の財政は危機的状況に陥っている。旧体制のツケが現役選手に回ってくるのは非常に残念だ。(バドミントン担当・宮下 京香)
報知新聞社