【鹿児島県警情報漏えい事件】“闇を暴いてください”元県警幹部が札幌のライターに郵送した「内部文書」…共有先の報道機関に家宅捜索で、いま危ぶまれる“内部告発”
北海道放送(株)
鹿児島県警の幹部が、警察情報を漏えいしたとして逮捕・送検された事件。郵送で告発文書を受け取った札幌のライターは、今回の捜査によって、内部告発など情報提供がなくなる危険があると訴えます。 【写真を見る】【鹿児島県警情報漏えい事件】“闇を暴いてください”元県警幹部が札幌のライターに郵送した「内部文書」…共有先の報道機関に家宅捜索で、いま危ぶまれる“内部告発” 小笠原淳さん 「結構な厚さがあるんですけれども、1枚目に“闇を暴いてください”と書いてあって」 札幌在住のライター、小笠原淳さんのもとに届いた差出人の名前のない茶色の封筒。中には、四つ折りにされたA4用紙10枚。1枚目には、黒く太い文字で”闇をあばいてください”と記されていました。 札幌在住のライター 小笠原淳さん 「九州の『ハンター』というサイトに鹿児島県警絡みの記事を書いたことがあるので、それをご覧になって名前を覚えていたんだろうか」 鹿児島県警で、3月まで生活安全部長だった本田尚志容疑者が、現職当時に入手した警察情報を第三者に郵送したとして逮捕・送検された事件。その第三者が、小笠原さんでした。 本田容疑者は、勾留理由の開示を求める法廷で『野川明輝・県警本部長が、現職警察官の“盗撮”事案を隠ぺいしようとしたため記者に情報を送った』と発言していました。 本田容疑者とは、面識がなかったという小笠原さんですが…。 札幌在住のライター 小笠原淳さん 「いわゆる公益通報、内部告発というか…こういう“発表されていないものがあるぞ”という訴えであることは理解できた」 小笠原さんは受け取った文書を、ふだんから記事を寄せていた福岡県に拠点を置くニュースサイト『ハンター』の編集部にデータで送信しました。その直後…。 札幌在住のライター 小笠原淳さん 「(文書が届いたのが)4月3日で『ハンター』と共有したのも、その日の午後。それから5日後の4月8日に『ハンター』の編集部に、鹿児島県警が強制捜査をかける…いわゆる家宅捜索に入った」 鹿児島県警の元巡査長が、内部文書を漏らしたという今回とは別の事件をめぐって、報道機関である『ハンター』に家宅捜索に入ったのです。 札幌在住のライター 小笠原淳さん 「いろいろな取材の秘密が詰まっているパソコンであるとか、スマホであるとか、その中に私がハンターに送ったデータがあって、今回の(鹿児島県警)元部長の逮捕につながったのでは…」 報道機関に強制捜査を行った鹿児島県警。 ライターの小笠原さんは今回、“取材源の秘匿”を守れないかもしれない事態が明るみに出たことで、市民が、内部告発などの情報提供をできなくなってしまう危険があると指摘します。 札幌在住のライター 小笠原淳さん 「(鹿児島県警は)“公益通報”というものの意味を分かっていない、(市民が)何も言えなくなる。たとえ小さなメディアであっても、強制捜査っていうのは決してするべきではない。鹿児島県警は今回、大変な間違いを犯している」 日本民間放送連盟などメディア側は「情報提供者を見殺しにすることにほかならない」として、「取材源の秘匿は、いかなる犠牲を払っても堅守すべきジャーナリズムの鉄則である」としています。 これについては捜査当局も「最大限尊重する」として、「報道機関が取材で行っている通信については基本的に傍受の対象にしない」などと過去に国会で答弁し、取材源に関する資料の押収や捜査には“抑制的な立場”をとってきました。 内部告発者がなぜ守られないのか、警察だけの問題ではありません。私たちの生活のなかでも正しいことを言った人が不利益を被ることはあってはならないと思います。
北海道放送(株)
【関連記事】
- 「女装した男性の避妊具なしの行為」が事件の発端、田村瑠奈被告らの公判も見すえた攻防…「おじさんの頭を持って帰ってきた」で、この世の地獄
- 小学生の娘の“BB弾”から夫婦殺傷、控訴審は涙の謝罪で即日結審…「おまえか!どこに傷があるんだ!この野郎」などの“恫喝”主張も1審判決は懲役25年
- 小学校の女性教諭殺害、37歳の元交際相手に求刑上回る懲役21年の判決…「殺した5月3日は“ごみの日”で女性にぴったり、達成感があった」などの暴言
- 交際していた高校教諭の女性殺害、36歳の元同僚の控訴審わずか10分で結審…666回の着信、700万円払っても別れられず「これが終わるために逃げたい、もう、死ぬしかない」
- 【被害者が証言】睡眠作用がある薬を飲まされ、一時意識障害になった81歳の男性「まさか、まさかだよな…」送検された看護師の男が病室で気になる言葉を口に