給食無償化、埼玉12市町村さらに拡大 財政負担、質低下のリスクも 国の責任を県教育長が指摘
公立小中学校で条件を設けずに給食を無償提供する自治体が、2023年9月時点で30・5%に上ったことが12日、文部科学省調査で分かった。17年度に行った同様の調査では4・4%で、7倍ほどに大きく増えた。新型コロナウイルス対策でできた地方創生臨時交付金が後押しした。ただ、無償化した自治体の1割以上が、交付金の裏付けがない24年度以降は実施予定がないとしており、継続性や地域間格差の課題も浮き彫りになった。 ■自己財源、財政の確保が課題 埼玉県保健体育課によると、県内の自治体(2024年4月時点)では坂戸市、所沢市、滑川町、小鹿野町、神川町、美里町、皆野町、毛呂山町、鳩山町、横瀬町、長瀞町、東秩父村の計12市町村が、自己財源で通年の無償化を実施している。越生町では一部財源に国の交付金を活用し、加須市は24年9月までの実施を発表している。 無償化のために財政調整基金を取り崩す自治体もあり、財源の確保が課題となっている。自治体の財政負担もさることながら、食材費や調理費の削減による質や量の低下リスクも指摘されている。
昨年6月の県議会では伊藤初美県議(共産)の一般質問に、日吉亨教育長が「無償化の実施は、学校の設置者である市町村が自主的な判断をされたものと捉えている。学校給食費の在り方は、国において抜本的に整理した上で、国の責任において財源を含め具体的な施策を示すべきもの」と答弁している。
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