日本中の職場に溢れる「クソどうでもいい仕事」はこうして生まれた…人類学者だけが知っている「経済の本質」
4人の超重要人物
記念碑的な著作が出版された1922年に近代人類学が誕生してから100余年、これまでに数々の人類学者たちが世界中を駆け回り、幾多の学説を唱えてきました。それらをひとつひとつ取り上げ、トピックや人名別に整理して辞典的にまとめた本はすでに世の中にたくさん出されています。ですが、この本ではあえてそのような形はとりません。ズバッと人類学の要諦を掴むための、「はじめての人類学」としての一冊を目指します。 誤解を恐れず言えば、人類学には「絶対にこの4人は外せない」という最重要人物がいます。ブロニスワフ・マリノフスキ(1884―1942)、クロード・レヴィ=ストロース(1908―2009)、フランツ・ボアズ(1858―1942)、ティム・インゴルド(1948―)です。彼らは19世紀後半から現代に至るまで、それぞれの時代を生きながら人類学において重要な概念を打ち出してきました。 先回りして言えば、マリノフスキは「生の全体」を、レヴィ=ストロースは「生の構造」を、ボアズは「生のあり方」を、インゴルドは「生の流転」を突き詰めた人類学者と捉えることができます。 人間の生にまつわるこの4つの考え方は、そのまま人類学が歴史の中で勝ち取ってきた学問的な成果です。つまり4人の人類学者を取り上げることで、人類学の歩みが一掴みにできると言えるのです。本書ではこの4人を中心に、人類学の「真髄」を押さえます。 さらに連載記事〈なぜ人類は「近親相姦」を固く禁じているのか…ひとりの天才学者が考えついた「納得の理由」〉では、人類学の超重要ポイントを紹介しています。
奥野克巳