利用者低迷受け、市が温泉2施設を廃止へ 大浴場や温泉プールあり、民間事業者に活用アイデア募るも不調
上田市は21日、同市鹿教湯温泉の鹿教湯健康センター「クアハウスかけゆ」と国民宿舎鹿月荘を2025年3月末で廃止する方針を丸子地域協議会で示した。両施設は利用低迷で指定管理料が高止まりしているため、市が民間事業者による活用を模索したが不調だった。両施設で一体となっている建物や敷地の後利用は未定としている。 【写真】鹿教湯温泉の渓谷にかかる屋根付き木橋「五台橋」 両施設は環境省指定の国民保養温泉地の中心施設として旧丸子町が整備。1983年開業のクアハウスは水着で入る浴場や温泉プール、88年建設の鹿月荘は客室34室がある。91年度の利用者数は計6万人余だったが、昨年度は計1万8千人余に減少。指定管理料は近年、計6千万円台に高止まりしていた。 市は改修による経営改善も検討したが、建物の古さもあり、市営施設としての再建を断念。本年度、民間事業者に活用アイデアを募る「サウンディング型市場調査」を実施した。事業者の案について市は同協議会で、多額の指定管理料を求めたり駐車場にしたりする内容で「効果的な提案はなかった」とした。 協議会の委員からは「ここ数年の低迷は新型コロナウイルスの影響が強い。もう5年ぐらい集客を検証しては」との提案があったが、市は「回復すると思うが、赤字解消は難しい」とした。市は両施設に代え、遊歩道整備による景観向上など「鹿教湯温泉の魅力向上策を地元団体と検討し、進めたい」とも説明した。