ドラフト指名なくよぎった引退 独立リーグMVP、諦められないプロの夢 製麺会社で働きながら社会人野球で再起へ
BCリーグの元信濃GSの大川陽大外野手
昨季のルートインBCリーグで年間MVP(野手部門)を獲得した元信濃グランセローズの大川陽大外野手(24)=長野市=が、社会人野球の信越クラブ(長野市)に入団した。昨年10月のドラフト会議で指名がなく、一時は現役引退を考えたが、同11月の日本選手権に出場した信越クの元信濃選手の活躍に触発されて翻意。「独立リーグの株を上げるじゃないけれど、社会人野球でも通用できるんだと証明したい」と意気込む。 【写真】勝負強い打撃でリーグMVPに輝いた信濃・大川
トライアウト受けても声はかからず退団
三重県四日市市出身。信濃2年目の昨季はリーグトップの60打点、同2位の13本塁打、同3位の打率3割5分をマークした。176センチ、96キロのがっちりした体格の右打者。ドラフト後に他球団のトライアウトを受けたが声はかからず、信濃も退団。地元に戻り、家業のスポーツ店で働くつもりだった。
社会人チームで活躍する元同僚の姿に胸熱く
そんな時、日本選手権の1回戦で信越クが日本新薬(京都)に5―2で逆転勝ちした試合をライブ配信で見た。先発投手は信濃で1年間一緒にプレーした宮野結希さん(22)。企業チームを相手に5回2失点と粘投する姿に「かっこいい」と胸が熱くなった。 その後、宮野さんと連絡を取り、当時信越クの監督だった箱山和宏さん(60)=現総監督=につないでもらった。外野手の補強が思うように進んでいなかったこともあり、箱山さんは「成績も申し分ない。渡りに船だった」と話す。大川さんは家族の応援にも背中を押されたという。
仕事との両立にも前向きに挑む
1月に信越クに合流し、今月1日から長野市内の製麺会社で働く。「100%の力を野球に注げた」というBCリーグ時代と違い、仕事との両立はまだ慣れてないが、「乗り越えないと」と前を向く。「信濃ではチーム打撃に徹したことで結果も付いた。信越クでも、チームの歯車になりたい」。信濃での経験を新天地で生かし、都市対抗野球大会、日本選手権出場の一助になり、まだ諦めていないNPB(セ・パ両リーグ)入りの夢も追う。