『いたばしの地域ボードゲーム会』を立ち上げたフリー編集者「自然と地域の人や歴史を学べるゲームを作っていきたいです」
「板橋に住んで16~7年になりますが、最初は『何もないのが板橋の魅力』だと思っていたんです。でも“住めば都”とよく言ったもので、板橋が大好きと言う人がまわりに結構多いんですよ。同世代でゲーム好きの人もいて、そんな仲間と立ち上げたのが『いたばしの地域ボードゲーム会』でした」 ボードゲームとは、テーブルの上で遊ぶゲームのことで、例えば、将棋、囲碁、オセロ、すごろく、カルタ、トランプ、他にも「人生ゲーム」や「野球盤」など、電源を使わないアナログゲームことです。
『いたばしの地域ボードゲーム会』は、板橋区の地域ネタのオリジナルボードゲームを作って遊び、それを広める有志の会です。これまでに、板橋区に襲いかかる宇宙人から区民全員で街を守る『いたばし防衛隊』や、板橋・四国・オーストラリアの形を手の感触で当てるカプセルトイゲーム『イタシコラリア』など、板橋にまるわる様々なゲームを製作してきました。
そしてこのほど完成したゲームが『植村直己 遥かわが家へ』。板橋区ゆかりの冒険家・植村直己さんの壮大な旅をテーマに、大自然を超えて「わが家」へ帰還することを目的としたカードゲームです。2~3人で対戦し、5分ほどで決着がつくゲームですが、大自然の脅威を前に、「進むか、立ち止まるか」、そのジレンマが楽しめます。 「植村直己さんがマッキンリーで消息を絶った時、私はまだ5歳でした。世界的な冒険家で、板橋区に住んでいたことは、引っ越してから知りました。区内に『植村冒険館』がありますが、今の子供達にゲームを通じて、植村直己さんのことを、もっと知ってもらいたくて制作しました」 『いたばしの地域ボードゲーム会』のメンバーは、40代のおじさん世代が中心です。そんなある日、一人の中学生が遊びに来ました。大人の中に混じって難しいボードゲームを一緒に楽しんで帰っていきました。あとで中学生の父親が「うちの子は引きこもりがちだったので、ボードゲームがきっかけで外に出るようになった」と喜んだそうです。 日本ボードゲーム教育協会のメンバーでもある松本さんは、こう言います。 「学校の授業は集団向けの効率化も必要なので、型にはまって退屈になりがちですが、本来、遊びと学びはとても近いもの……、楽しく笑いながら、自然と地域の人や歴史を学べるゲームを作っていきたいですね」
カードゲーム『遥かわが家へ』。このパッケージに載っている植村直己さんの言葉を最後にご紹介します。松本さんの好きな言葉です。 「必ず壁はある。それは乗り越えたとき、パッとまた新しい世界がある」 *『植村直己 遥かわが家へ』 https://sites.google.com/view/harukawagayae/top?authuser=0 *いたばし編集デザイン室 https://itabashi-edit-design.studio.site *「いたばしの地域ボードゲーム会」 https://itabashi-boardgame.localinfo.jp