能力の高い後輩たちを引き上げる4年間培った経験値(第100回関東大学バスケットボールリーグ戦・明星大学 原伊吹)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズに新加入した加藤嵩都の母校『MUストリートボール大学』
Bリーグ新シーズンへ向けた移籍ニュースを見て、個人的に一番驚かされたのは加藤嵩都が名古屋ダイヤモンドドルフィンズに迎えられたことだ。関東大学2部リーグの明星大学出身。在学中に特別指定として熊本ヴォルターズでプレーし、卒業後はB3リーグのさいたまブロンコス、昨シーズンはB2の福島ファイヤーボンズとステップアップ。得点力に長けたガードであり、1番でも2番でも起用可能。毎年オフには自らの弱点に向き合いながら努力してきた成果が認められ、B1でプレーする機会をつかんだ。この喜びと驚きを共有したく、明星大学の柴山英士監督を呼び止めた。 「オフには練習しに来ました。そのときにいくつか移籍話があり、すべてB1と言っていましたが、どのチームかは頑なに教えてくれなかったです。だって、すぐに広めちゃうでしょって(笑)」と言われた恩師の性格をよく分かっている。移籍が決まるとふたたび連絡があり、「彼は齋藤拓実選手がもう大好き。また、ショーン・デニスヘッドコーチのバスケに合っているとも言っていました」と柴山監督も納得する相思相愛の移籍だった。昨シーズンは4強入りした西のビッグクラブでのシンデレラストーリーが今から楽しみである。 加藤だけではなく、仙台89ERSから滋賀レイクスへ移籍した岡田泰希も明星大学OB。今夏、北越高校出身の #13 青木汰斗が2年生ながら、地元の新潟アルビレックスBBの練習に参加し、有望な選手も少なくない。関東大学オータムリーグ2部を主戦場とする明星大学は、開幕2連勝と好調なスタートを切った。しかし、盤石とは言えないチーム事情があり、主力の島隆矢と北見凜太郎、宮永颯太を相次いでケガで欠き、青木は新潟から戻ってきたばかり。3戦目は2部リーグで頭ひとつ抜けている1部から降格してきた早稲田大学と対戦。4年生ガードの原伊吹は、その差を痛感する。 「やはり早稲田大学の選手は体格もしっかりしていて、個の能力も高いです。それがチームとしてひとつになったときの強さをすごく実感しました。体が全然大きいにも関わらず、シュートは自分たちより入るし、バスケットの組み方などもすごく上手かったです」 82-107、25点差の大差で敗れ、今シーズン初黒星を喫した。試合開始から早稲田大学に10点ランで抜け出されると、最初の10分間を終えて14-32と劣勢を強いられる。それでも最後までゴールへアタックするスタイルを貫き、80点台に乗せたオフェンシブな明星大学のチーム名は『MUストリートボール大学』。現状を鑑みれば、「チーム力はまだまだこれから伸ばせていける部分です。そこがうまく噛み合っていけば、次に早稲田大学と試合するときはもっと良い勝負ができるのではないかと思っています。そのためにもリーグ戦を通して、しっかり成長していけるようにしなければならないです」と原は敗戦から学び、成長につなげる。今週末9月7日・8日は明星大学日野キャンパスでのホームゲームが待っている。