人材不足が深刻な中、なぜ介護の基本報酬が引き下げられるのか?
報酬を引き上げる制度はあるものの
ただ、厚生労働省は引き下げの理由をもうひとつ説明しています。それは基本報酬は下げるが、処遇改善加算を引き上げるので、事業所の収入を増やすことは可能というもの。 簡単に言えば、働く人の処遇を改善すればするほど報酬を加算するという制度。 加算率は4段階に分かれていて、各事業所はレベルを上げれば収入はアップするのですが、レベルを上げる条件が「勤続年数などに応じた昇給の仕組み」「改善後の賃金年額が440万円」「経験技能のある職員を一定割合以上配置する」といったように、そもそもお金をかけないとクリアできない条件です。 そのため、大きな事業所は改善しやすいのですが、そもそも訪問型は小規模な事業所が多く、処遇を上げる余裕がないというのが実情。 2023年の訪問事業者の倒産件数は調査開始以降最多となっていて、すでに苦しい状況の中で、今回の改訂がさらに追い打ちをかける可能性があります。 これまで家庭での介護を進めてきた政府の方針と逆行しているようにも見えますし、そもそも介護職員の給料の決め方は、これらのシステムから切り離すべきではないかという議論もあります。 他の業界でも言えることかもしれませんが、制度を変えるには、数字だけ見て判断するのではなく、現場の声も拾い上げることが大事ではないでしょうか。 (岡本)