「お月のもの」やセクシャリティー…新しい視点も注目される朝ドラ『虎に翼』に感じる素朴な疑問
放送開始から2度目の世帯視聴率18%を記録し、勢いが止まらないNHK連続テレビ小説『虎に翼』。このままいけば20%超えも目前に迫っている。達成すれば、’20年度上期に放送された『エール』以来7作品ぶりの快挙となる。 【スクープ!】すごい!18歳年上のカレシとラブラブデートの伊藤沙莉 同ドラマは、ヒロインが苦難を乗り越え立身出世する物語であるが、人気の秘密は、主演の伊藤沙莉の演技力の凄さにある。さらに脇を固める個性的な俳優たちも同様だ。 演出面では、「お月のもの」と表現される生理痛で悩むヒロインや、ボーイズラブを思わせるような、これまでの朝ドラではあまりなかったシーンもふんだんにあり、視聴者は、次回はどうなるのかとワクワクドキドキしながら毎日ドラマを楽しんでいる。 だが、ドラマの魅力に引き込まれれば引き込まれるほど、細かいところが気になってくるのも確か。そのひとつが、時代考証だ。 「テレビ好きの視聴者は、録画するだけでなく、見逃し配信などで好きな番組を何度も観ることができるので、不自然なシーンなどにも目が行き届くようになっています。それもあってか、最近のドラマはSFやコメディでもない限り、時代考証はしっかりとなされていて、ツッコみどころはあまりありません。 前クールで話題になった『不適切にもほどがある!』(TBS系)は、昭和と現代をタイムリープする物語でしたが、セットからファッション、当時の言葉遣いまで実に正確に再現されていました」(テレビ誌ライター) 朝ドラに限っていえば、’19年度前期に放送された『なつぞら』で指摘されたのは、松嶋菜々子の“美しさ”だった。 「顔が美形とかそういうことではなく、常に肌が白くツルツルで手も白くきれい。しっかりメイクもしていて、『戦後間もない北海道の牧場に嫁いでいる女性が、あんなに肌がきれいなわけはないだろう』と話題になりました。寒さが厳しい場所で、毎日牛や馬の世話をして、顔や手は荒れるだろうし日焼けもするでしょう。 『化粧品はあったと思うが、現代のようなスキンケア用品やハンドクリームなどない時代に、あそこまで白くきれいな肌はしてないだろう』などと視聴者からNHKへの問い合わせがあったようです」(全国紙記者) 民放でドラマ制作に従事するディレクターは、その辺りの事情をこのように説明する。 「リアリティを求める俳優さんもいれば、『イメージを大切にしたいから』と、あまり汚れたメークをしたがらない方もいます。ドラマの演出に影響がなければ、その辺りのことは特にこだわらないですね」 前出のテレビ誌ライターによれば、『虎に翼』で一部の視聴者から指摘されているのは、衣装だという。 「特に、戦中、戦後ですね。外地から復員してきた兵隊が多数登場しますが、どの人たちも軍服がきれいです。綻びてもいませんし、垢や埃で汚れてもいません。戦災孤児たちはボロボロの服を着て、顔や手足は汚れています。それなのに、大人たちはみなきれいな恰好をしているのは明らかに不自然です。復員してきたばかりの轟太一(戸塚純貴)の軍服も洗濯済みのようにきれいで、顔はきれいさっぱり。髭も伸びていませんでした。 そして、翌日にはなぜか、きれいな私服姿に変わっていて、しかもズボンにはちゃんとプレスされた跡がありました。裁判所に勤める人たちのスーツも、しわがなく、糊が利いた真っ白なYシャツを着ています。重箱の隅をつつくような話ですが、『戦中、戦後の混乱期をドラマで描く以上、時代考証を正確にしてほしい』と希望する視聴者は一定数いるようです」 ほかにも、猪爪家の女性たちの着物や割烹着が白くきれいだったり、子供たちもきれいな服を着ているし、全員歯が真っ白だというのも気になるのだという。 「どうしても必要でない限りは、汚れや劣化の効果を施してしまうと使いまわしができなくなってしまい、コストがかかってしまうという点もあります。それと、ドラマの内容に影響を及ぼすことはないのでそこまでやる必要はないということですね。 また、朝からそんなにリアルな姿は見たくないという人も多いようです。でも、そんなことまで指摘されるということは、ドラマがそれだけ注目されている証拠と言えますから、かえってありがたいですけどね」(民放ドラマ衣装部関係者) 注目されているドラマだからこそ、さまざまな意見も出てくるのだろう。多くの視聴者が同作をいろいろな角度から注目しているのは間違いない。
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