外国人も避難所へ「指さしカード」発案 きっかけは能登半島地震
日本語が話せない外国人が災害に遭った時、指で示すだけで意思を伝えることができるカードを鳥取県国際交流財団(鳥取市)が作った。 【写真】「おなかすいた」避難所から届いたSOS 外国人は災害弱者なのか カードは英語、ベトナム語、中国語、ミャンマー語の4カ国版。母国語で「避難所に連れていってください」「大使館に連絡したい」「いつ食べ物がもらえますか」など、被災時に想定される質問が並び、その横に日本語訳がある。日本語が全く読めなくても相手にカードを見せて質問部分を指で示すだけで意思が伝わる。 「熱があります」など体調にかかわる表現例や、避難所で必要となりそうな物資の母国語と日本語訳もある。スマートフォンの電池が切れて翻訳アプリが使えない場合も有効だ。 企画したのは財団職員で外国人の防災を担当するベトナム国籍のグエン・ギさん。1月の能登半島地震で石川県内に住む知人に連絡を取った際、近くに住むベトナム人が日本語が分からず困っていたという話を聞き、思いついたという。 来日して約10年のグエンさん自身も、テレビニュースで災害の情報を伝える日本地図が示されても、自分が住む地域が分からなかった経験があるという。「生理用品など少し日本語が話せても伝えづらい場合があり、県内を訪れた外国人観光客がたまたま被災することもあり得る。そんな時にも使ってほしい」と話す。 カードは財団のホームページからダウンロードできる。財団の窓口でももらえるという。県によると、県内に住む外国人は昨年12月末時点で5510人。前年同期より1割増えた。国籍別で最も多いのは全体の3割近いベトナムで、次に韓国または朝鮮、中国の順。(清野貴幸)
朝日新聞社