アラン・ドロン事件の真相は─告訴された日本人女性「ヒロミ」の告白
俳優アラン・ドロンと同居していた日本人女性のヒロミ・ロランが、2023年7月、力ずくでドロンの邸宅から追い出された。これを計画したのは、ドロンの3人の子供たちだ。また彼らはヒロミが、ドロンが衰弱したことに付け込み、彼を閉じ込めたり、彼のペットを虐待したりしたという旨でヒロミを訴えた。この騒動を受け、ヒロミが仏紙に切実な想いを語った。 【画像】ヒロミを「だまし打ち」にしたアラン・ドロンの次男アラン=ファビアン ヒロミ・ロラン（66）は、いまも打ちひしがれた様子だ。私たちがこの女性と最初に会ったのは2023年11月、パリにあるこの女性の弁護士の事務所でのことだった。 アラン・ドロンの3人の子供の一致団結した行動によってヒロミがKOされたのは、2023年7月5日だった。それ以降、ヒロミはいまもまだ立ち直れていない。一方、アラン・ドロンの子供たちのほうも、もともと悪かった仲が、その後さらに険悪なり、もう2度と3人が一緒に行動することはないと思えるほどだ。いずれにせよ、ヒロミはあの日以来、自分の人生を生きている気がしないという。 「もう一度、アラン（・ドロン）に会いたいんです。それができないなんて信じられません。私は彼に会えなくて寂しいですし、彼も私と会えなくて寂しいのだと思います。私がどこに行ったのか、なぜいなくなったのかが気になっているはずです。もう一度、アランと会う。その希望に私の全人生を託しています」 ヒロミはそんな切ない言葉を何度も繰り返す。すべてが一変した悪夢のような日のことは、いまもまざまざと思い浮かぶという。 「2023年7月5日、私はだまし討ちに遭ったんです。その数日前、アランと一緒に私は健康診断のためにスイスに行きました。帰ってきたのが6月30日でした。留守のあいだ、アランの犬のルボは、（アラン・ドロンの次男の）アラン=ファビアンに預けていました。 当時、アラン=ファビアンはモンタルジに住んでいて、（アラン・ドロンの邸宅があるフランス中部の）ドゥシーから比較的近かったんです。アラン=ファビアンは父親に電話をかけ、自分には車がないから、私がルボを引き取るようにしてほしいと言ったんです。 私はすぐにジーンズにTシャツという格好のままで出発しました。70ユーロと携帯電話しか持っていませんでした。私は別れ際にアランにキスをし、すぐに戻ってくるからと言いました。まさか、それっきりもう2度と彼と会えなくなるとは思ってもいませんでした」 モンタルジに着くと、そこには犬もいなければ、アラン=ファビアンもいなかったので、ヒロミはドゥシーに戻った。すると家の前に憲兵隊の車両が一台停まっていて、門の辺りを私服の2人組が見張っていた。ニュース専門のテレビ局「BFM TV」のトラックもあった。ヒロミは強引に家に入ろうとしたが、警備員の一人に組み伏せられた。取り乱した彼女は、憲兵隊が呼んだ救急車に乗せられて送り出された。 「病院を出てからは友人宅にかくまってもらいました。とても現実だとは信じられませんでした。突然、私はすべてを失ったのです。その後、子供たちが私の持ち物の一部を歩道に投げ捨てていたことを知りました」 このときヒロミ・ロランが何の罪で子供たちから訴えられたのか、フランスでは知らない者はいない。ヒロミ・ロランは、アラン・ドロンが衰弱したことに付け入ったり、彼を閉じ込めたりしたほか、ペットを虐待したというのだ。この訴えは、棄却された。話の辻褄がまったく合わなかったからだ。その後、ヒロミも暴行と盗難と名誉棄損で訴えた。名誉棄損は、ドロン家の子供たちが彼女を「付き添いの女性」と言ったからだった。もっとも、こちらの訴えも棄却となった。 邸宅内に隠されていたヒロミのタンス預金は、ヒロミが話した通りの場所で見つかり、現在は別の場所に保管されている。だが、まだ手元に戻ってきていない思い入れのある衣服や物品があるという。 「アランと親密に過ごしたときのことを書いた日記も、私信も、思い出の写真も、アランが自分のお母さまのために日本で買ったネックレスも戻ってきていません。お母さまが亡くなったあと、アランはそのネックレスをバレンタインデーに私にくれたのです」（続く） アラン・ドロンとは恋人関係であったことを主張するヒロミ。当初は平穏に過ごしていた2人だったというが、なぜこのような事態にまで発展してしまったのか？（続く）
Bernard Pascuito
