【ダイヤモンドS回顧】人馬ともに復活のテーオーロイヤル 血統からも充実の6歳シーズンで高みを目指す
展開に泣くも、進化を感じるワープスピード
2着サリエラは初の3000m超で、テーオーロイヤルに最後まで食い下がったのは立派だった。こちらも斤量55.5kgは馬格を考えれば、しんどかったはずだ。目標にされた相手が悪かった。晩成傾向のサロミナの系統らしく、まだまだ成長も見込める。長距離もこなせるが、ベストは2400m前後だろうか。どちらにせよ、春は牡馬相手に挑むことになる。勝ちに行く競馬が理想だが、牡馬相手なら、体力負けしない切れ味勝負に持ち込みたいところ。昨年3着だった目黒記念は目標にちょうどいい。ハンデさえ、これ以上課せられなければ、チャンスが巡ってきそうだ。 3着ワープスピードは超スローペースで位置取りの差が出てしまった。前半1000m1.01.2、中盤1000m1.04.7と中盤でさらに遅くなり、レースが動いたのは残り600mから。11.8-11.0-11.5では、繰り出せる末脚に限界がある。切れ味で劣るため、長距離に活路を見出したことを踏まえると、自身が記録した上がり600m33.7はむしろよく頑張った方だろう。やはり長距離はベストであり、もう一列前で競馬を進められれば、結果も変わってくる。長距離戦は隊列が決まると、そう簡単には動けないので、序盤の位置取り争いで器用に立ち回ってほしいところだ。 このレースは序盤、出遅れたグランスラムアスクが外から番手を狙いに行った場面以外、ほぼ隊列に変化がなかった。東京の長距離戦はことさら途中で動きにくい。非常に勇気が必要であり、結果が担保されないことを承知でいえば、伏兵はどこかで動き、レースを面白くしてほしかった。長距離戦の魅力は駆け引きにある。このレースでは、そんな魅力を感じられなかった。最後のテーオーロイヤルとサリエラの競り合いが迫力満点だっただけに、その点を余計、感じてしまう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳