山形市が掲げる「日本一の観光案内所」構想 訪日客割合「2%」のまちで新たな誘客施設に 深層リポート
例えば旧ビブレ跡地では、「長く滞在したくなる日本一」を実現するために日本酒やワイン、芋煮など、山形の味覚を楽しめる施設を立ち上げ、浴衣を借りて風情のある街並みを歩けるルートを整備する。「東西通路で、花笠踊りが実体験できてもいい」(佐藤市長)という枠にとらわれない自由な発想だ。
素案では山形の最大の魅力は「ひと」と位置づけている。市民の立ち居振る舞いややさしさなどをみると、それはすでに「日本一」なのかもしれない。構想の実現度は、令和9年度以降の本格スタートで証明される。
◇日本一の観光案内所 少子高齢化が進み、都市間競争が厳しくなる中、自治体は観光地の魅力を高め、交流人口の拡大を図ることが求められている。山形市が掲げた〝アドバルーン〟は「日本一の観光案内所」。令和5年、市は慶応大とJR東日本の3者で実現に向けた覚書を締結。今年3月にたたき台となる素案をまとめた。令和9年度の始動に向けていよいよ挑戦が始まった。
~記者の独り言~ ゴールデンウイーク(GW)が目前に迫った平日の午後、JR山形駅からタクシーに乗った。メインストリートの七日町大通りは相変わらず人通りが少なく、寂しい限り。「忙しくなりますね」と運転手に話しかけると、「GWに観光客なんて来やしない。通り過ぎるだけ。見るところないから」とつれない返事。食文化を中心に歴史、人柄と魅力は多い。リーダーの手腕に委ねられている。(菊池昭光)