将来の『ドラゴンボール』編集者が高橋留美子作品にNG? 「ジャンプ」が取り逃がした大ヒット漫画家3選
「ジャンプ」以外で偉業を達成
数多く存在するマンガ雑誌において、長年発行部数トップを誇る「週刊少年ジャンプ」(集英社)は、漫画家を志す人だけでなく、今活躍している漫画家にとっても憧れの存在です。そして、その「ジャンプ」に作品を持ち込むも当時は連載が叶わなかった有名漫画家も少なくありません。 【画像】うわ、危なっ! こちらが”見えちゃいそう”な『らんま1/2』女乱馬です(4枚) ●高橋留美子先生 もはや日本を代表する漫画家と言っても過言ではない高橋留美子先生も、「ジャンプ」に持ち込んで玉砕したひとりです。 高橋先生といえば、『うる星やつら』『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』など多数の代表作を持ち、それ以外の発表作もすべてヒットさせてきた、いわゆるヒットメーカーです。作品はすべて「週刊少年サンデー」を刊行する小学館より発表しており、『うる星やつら』の原案となる『勝手なやつら』で1978年にデビュー、同年に連載を開始した『うる星やつら』が第26回(1980年度)は小学館漫画賞を受賞しました。 デビュー作から異才を放つ高橋先生ですが、デビュー前に「ジャンプ」にも作品を持ち込んでいたそうです。しかし、それはボツとなり、「ジャンプ」からのデビューは叶いませんでした。 高橋先生自身が2015年に発刊した「鏡が来た 高橋留美子短編集」内にて明かしており、そこで原稿を見せた編集者が「のちに超有名編集長になる人」だったようです。その人物とは、『ドラゴンボール』の鳥山明先生を見出した鳥嶋和彦さんでした。 ちなみに、鳥嶋さんは高橋先生の『めぞん一刻』を世に送り出した元小学館最高顧問の白井勝也さんとの対談で「高橋留美子さんの持ち込みを見たらしいんだけど、覚えがないんですね。断ったらしいんですけど(笑)」とコメントされています。 ●渡辺航先生 続いて『弱虫ペダル』で知られる渡辺航先生です。「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)にて2008年より連載を開始した本作のコミックス累計発行部数は3000万部を突破(※電子版含む)しており、2015年には第39回講談社漫画賞(少年部門)を受賞しました。 渡辺先生は15歳のとき、集英社の「第22回ホップ☆ステップ賞」に応募した作品が佳作に選ばれます。その後も同社主催の「赤塚賞」にて佳作や準入選に選ばれますが、連載のチャンスには恵まれず、「ジャンプ」の増刊号に数本の読切が掲載されただけでした。 それから講談社や新潮社、また秋田書店へと移り連載作品を重ねるも、漫画家として苦しい状況が続きます。転機となったのはやはり『弱虫ペダル』で、現在も連載は続いており、渡辺先生の代表作となりました。 ●鈴木央先生 渡辺先生と同じく「ジャンプ」から掲載誌を移してヒットしたのが『七つの大罪』で知られる鈴木央先生です。今は同作の続編にあたる『黙示録の四騎士』を「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載中ですが、デビューは「ジャンプ」本誌デビューでした。 鈴木先生は「ジャンプ」以降、「サンデー」「チャンピオン」でも作品を発表しており、『七つの大罪』発表時は「4大週刊少年マンガ誌制覇」と話題になりました。 特に『七つの大罪』が、鈴木先生の作品史上最大のヒットを飛ばすこととなり、2023年9月時点で全世界シリーズ累計発行部数は5500万部を突破するほどの人気作となりました。 * * * 上記した高橋先生、渡辺先生、鈴木先生の代表作が「ジャンプ」で掲載されていたら、どんな反響があったのだろうか……と妄想が膨らみます。
米田果織